プロ野球選手であっても度肝を抜かれた一発だった。エンゼルス大谷翔平投手は今季、投打にわたる大活躍で、一気にメジャーリーグのスターになった。投手で9勝を挙げつつ打者として46本塁打を放っていることでも驚愕だが、そのホームランの飛距離で屈強なメジャーリーガーを驚かせる日本人選手など、今までいなかっただろう。元メジャーリーガーの川崎宗則氏に、大谷が放った46本のうちベストの一発を選んでもらったところ「シアトルで4階席に打ったホームランが一番印象深いですね」と答えた。飛距離は約141メートルにも達し、チームメイトが口をあんぐり開けて驚いたという特大33号。ここに今季の大谷が大活躍した要素が詰まっていた。
33号は、マリナーズの左腕・ゴンザレスの変化球を捉えたもの。コースとしては甘い真ん中高め。球速は89マイル(約143キロ)。ストレートの球速が150キロを楽々と超えるメジャーリーグ内では“抜いた球”に分類されるものだ。「緩い球をしっかりとセンター方向じゃなく、引っ張った。翔平さんが今年よかったのは、変化球を流すのではなく引っ張れたことです」。確かに、これまで大谷のホームランと言えば、左中間方向に弾き返すというイメージも強かったが、今季は思い切り引っ張って、この33号のようにはるか遠くまで飛ばす一発も多かった。「速い球に関してはセンター方向、緩い球はしっかりと引っ張る。そうしてホームランに出来ていました。彼は流してでもホームランが打てるタイプではあるんですが、緩い球をセンター方向や流して打っている時は、あまりよくなかったと思います」と付け加えた。
逆らわずに逆方向へ。古くからよく聞く、打撃に関してよいとされていたものだ。難しいコースや変化球で攻められた時に対してよく使われてきたが、川崎氏は緩い球こそ鋭く引っ張り、強烈に弾き返すのがいいと言う。今季ラストの46号も、抜いた球をうまく拾い上げたような一発だった。「あれも変化球でしたけど、自分のポイントを確立させて打っていた。素晴らしかったです。しっかり引っ掛けて、バットに乗せて打てていました」。少し泳がされたように見えて、ポイントはずれていない。ボールの内側から叩くというよりも、外側から引っ掛けるように拾った打球でも、しっかり振れれば飛んでいく。
シーズン後半では、やや引っ張り傾向が強くなったと各方面から指摘が入り、数字も落ち込んだ印象のある大谷ではあるが、川崎氏は「長いシーズン、いろいろなことがあります。ずっと同じように打つのは不可能です。翔平さんは後半戦も素晴らしい活躍でした。それがあっての46本だし、『あのまま行けば50本』とかではないんです」と、まるで気にしなかった。「ずっと好調のままではいかない。ちゃんと不調があるというか、攻められ方もあるので、打てない時期もあります。打てないのも仕事をしたっていうことなんです。打てなくてもグラウンドに立ち続けて、相手ピッチャーにプレッシャーをかけたり、味方を応援したりする。それが大谷さんに与えられたプロとしての仕事です。仕事を全うした証拠です」。
好調だった8月までから一変、苦しみ抜いた9、10月を過ごし、最終戦をホームランで締め括る“仕事”を果たした大谷。来季も、今年以上の活躍が期待されることは、言うまでもない。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)
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