19日までの5日間で、180人以上のアメリカ軍関係者の感染が確認されている沖縄。海外でのオミクロン株の拡大を受け、日本政府は外国人の新規入国を原則禁止にするなどの水際対策を強化しているものの、在日米軍に関しては「日米地位協定」により、日本の法令の適用から除外されているのだ。
松野官房長官は「地元の方々の不安解消に向けて、基地に内外の一層の行動制限を含め、健康保護に関する措置の運用をさらに厳格化するように要請をしたところだ」と述べているが、沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長、県政策参与の高山義浩医師は現状をどう見ているのだろうか。
感染状況について高山医師は「感染者の多くが独身の若い男性たち、というところがポイントだ。私たちは基地の従業員の方々には検査を勧めているが、海兵隊絡みのアンダーグラウンドなパーティーがあるので、そこからの感染については、きちんと見ていくのが難しいと感じている。基地の中には憲兵がいるし、マスク着用が義務化、飲食もテイクアウトのみになるなど、対応が厳格になってきている一方、基地の外に出てしまえば“自由行動”。基地の中でパーティーができていない分、外でやり始めてしまっている」と話す。
「過去に外出制限になった例もあるので、その判断をしていただければベストではあるが、少なくとも基地の外でもテイクアウトしか認めない、そして憲兵がきちんと見張る、という判断をしてほしい。それから、基地があるのは医療資源も少ない小さな島で、高齢者が暮らしているということを若い兵士に教育してもらわないと困る」。
また、疫学調査の情報の不十分さや、米軍基地内の検体が県側に提供してもらえないといった問題もあるという。
「去年の独立記念日(7月4日)以降に大きな流行が起きたが、その時に膝をつき合わせて話し合った。その結果、どれだけの陽性者が出ていて、そのうち何人が入院しているのかといった情報は毎日提供してくれるようになった。ただし、変異株については情報が足りないし、私たちの病院には“米兵とパーティーをして、仲間の中に陽性者がいたと聞いて心配になったので”という人が来る。しかし、提供される疫学情報では“日本人との接触はありませんでした”という報告になっているので、調査能力に若干の疑問符もついている。
また、海兵隊のキャンプ・ハンセン基地の従業員の感染者4人については遺伝子型やゲノム配列まで見ていて、複数のウイルスがあることが分かっている。つまり、それを調べていくことで、どこの国から来たのかが分かってしまう可能性がある。おそらく米軍としては、検体を提出することでどの部隊がどこで展開していたのかが晒されてしまうリスクを感じているのではないか。そうだとすれば、オミクロン株かどうかだけでいいから、アメリカ本国に検体を送って調べ、情報共有をしてほしい。
もし感染が県民に広がってしまった場合の県民感情を考えれば、米軍にとっても決して良い結果にはならない。沖縄からはもちろん要請を重ねているが、自治体と政府、外交ルートとでは全く違う。これは共通の利益だということを伝え、調整してほしいところだ」。
すでに市中感染が始まってしまっている可能性もあるのだろうか。
「県としては決して諦めているわけではなく、封じ込めができると考えて、そのために全力を挙げている。そのためにも、全容を明らかにしないといけない。そこで18日、19日とキャンプ・ハンセンの基地従業員約600人に検査を受けてもらい、見つかった4人の感染者の方々には入院をしてもらったし、濃厚接触者も全員が原則としてホテルに入ってもらっている。
この結果は2週間後に出てくることになるが、今後も検査体制を拡充しながら、そうした努力を続けていきたいし、県外の皆さんにも、ことさらに沖縄を恐れないでほしい。現時点では沖縄への旅行を延期していただく必要はないと思っている。沖縄は台風などによって検体が本土に送れなくなることを想定し、全国でもトップレベルの検査態勢をとっている、オミクロン株の同定も含めて、流行を早期に捉えられるようになっているので、心配な方は県が出す情報に注目していただきたいし、これから大きな流行になってきた時には、必要性に応じて判断していただくことになると思う」。(『ABEMA Prime』より)
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