将棋の藤井聡太叡王(竜王、王位、王将、棋聖、19)は5月24日、千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で叡王戦五番勝負第3局の対局を行い、挑戦者の出口若武六段(27)に勝利しシリーズ3連勝で初の叡王防衛を決めた。この結果でタイトル戦連勝数を13に伸ばし、大山康晴十五世名人が保持する連勝数17に次ぎ、羽生善治九段の歴代2位記録に並んだ。
【動画】叡王戦五番勝負第3局 藤井聡太叡王VS出口若武六段 対局開始の様子
先手番の藤井叡王は、第1局、第2局千日手局、指し直し局と同様、この第3局でも相掛かりを志向した。序盤で新しい構想を見せた藤井叡王のペースで進行していたが、難解な中盤では激戦に。終盤まで均衡が保たれていたが、出口六段のタイトル初挑戦を阻み、叡王戦史上初の連覇を達成した。この結果で自身のタイトル獲得数は通算8期。加藤一二三九段、木村義雄九段と並ぶ歴代9位に浮上した。
終局後、藤井叡王は「シリーズ通して相掛かりの将棋になって、中盤で長考した場面が多かったですが、なかなか判断がつかないこともあったのでそのあたりに課題を感じた」と振り返った。タイトル戦連勝数を13に伸ばしたことについては、「本局も負けの局面があったのであまりそのことは気にせずに、来月から棋聖戦、王位戦もはじまってくるのでそれに向けてしっかり準備したい」とすでに視線の先は次戦に向かっている様子だった。一方、敗れた出口六段は「全体的には自分の実力だったのかなという気がします。今日の将棋を負けてしまったのは悔しい気持ちがある。1局目と2局目は内容が良くなかったという面でも、もう一度鍛え直して上にあがっていければ」と話した。
藤井叡王は2016年10月に四段デビュー。第34期竜王(1組以上:1期)で、順位戦A級(A級:1期)。棋戦優勝は5回。デビューから5期連続で年度勝率8割超えを記録している。現在最多の五冠保持者で将棋大賞でも2年連続で最優秀棋士賞に選ばれるなど、令和将棋界のトップに君臨する天才棋士だ。
藤井叡王の防衛ロードは続き、6月3日には永瀬拓矢王座(29)を挑戦者に迎えた棋聖戦五番勝負が開幕する。研究仲間と公言している両者がタイトル戦で激突するとあり、どのような戦いが繰り広げられるか早くも注目を集めている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)