将棋の谷川浩司十七世名人(60)が5月29日、立会を務める名人戦七番勝負のABEMA中継に出演した。谷川十七世名人は、26日に日本将棋連盟から永世襲位が発表されたばかりで、名人戦七番勝負の渡辺明名人(棋王、38)対斎藤慎太郎八段(29)戦の第5局立会人を務めている。中継では襲位の喜びと、第5局開催地の岡山県倉敷市出身の大棋士・大山康晴十五世名人との思い出の一局を語った。
谷川十七世名人が“初仕事”となる立会人を務めた。2日目の対局が行われている名人戦七番勝負第5局で、ABEMAの中継に出演。襲位の感想を問われると「私も60歳を迎えて、この年齢になったんだなとしみじみ感じるところもあります。十七世名人としての初仕事が大山十五世名人の出身地で、しかも名人戦の立会を務めることになり縁を感じます」と語った。
谷川十七世名人の襲位は23日の理事会にて、21歳2カ月での史上最年少名人奪取をはじめとするタイトル獲得数27期、連盟会長を務めた功績に対して永世襲位の推薦を決定した。その後、本人と名人戦主催社の合意が得られたため23日付での襲位が決定。「資格を得てから25年。400年以上の歴史を刻む永世名人の名前を継ぐことに、改めて身の引き締まる思いです」とコメントしていた。永世名人の襲位は、2007年11月の中原誠十六世名人(74)以来で、実力制名人戦以降は木村義雄十四世名人、大山十五世名人、中原誠十六世名人に次ぐ4人目となった。
さらに、谷川十七世名人は大山十五世名人との思い出の一局も披露。1992年3月2日に行われた第50期A級順位戦最終局を挙げた。ともに6勝2敗で迎えた最終局で、勝てばプレーオフ以上が決定する大一番。「私はこの将棋は完敗でした。大山先生はこの年の7月に亡くなられたんですが、大山流の受け潰しといいますが、大山将棋の神髄を最後の最後で見せていただいたという対局です」と振り返った。この結果で、A級順位戦は6勝3敗が4者並ぶ大混戦に。高橋道雄九段、南芳一九段を加えた4人でプレーオフが戦われ、高橋九段が中原誠名人(当時)に挑戦したが名人が防衛を果たしている。「大山先生と私は39歳の年齢差がありまして、大山先生にとって私はそんなに本気で戦う相手ではなかったと思うんです。ただ、この最後の一局では違ったんだと思います」と当時を懐かしんでいた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)