将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Cリーグ第1試合、チーム広瀬とチーム豊島の対戦が5月28日に放送され、チーム広瀬がスコア5-3で勝利、本戦進出に王手をかけた。一進一退で星を取り合う激戦で、チーム広瀬の青嶋未来六段(26)が3戦全勝。リーダーの広瀬章人八段(35)からも「チームのエース。非常に頼もしい」と大絶賛の活躍で、予選突破の未来をその手で切り開いた。
気鋭の若手棋士がチームをけん引した。スコア1ー1で迎えた第3局、この日初登場となった青嶋六段は、名人2期など数々のタイトル戦を渡り歩いたベテラン丸山忠久九段(51)と激突。青嶋六段の四間飛車穴熊に対して、丸山九段は居飛車穴熊のじっくりした戦いとなった。中盤、銀を捨ててと金を作る▲4三銀の一手に控室の三枚堂七段は「いったぁ!」と声を上げ、広瀬八段も「これが穴熊なんだ…、自分の衰えを感じる」と驚嘆。ペースを握った青嶋六段の穴熊は固く、攻めが切れることがない。実践的なテクニックで混戦を制した。
切れ味の鋭さが冴えわたった。「最初の将棋を勝てたことで、2戦目以降の自信が持てた」と、スコア2ー2の同点の局面で再び登板。対するは深浦康市九段(50)も王位3期の経験を持つトップ棋士だ。青嶋六段は2年ぶりの出場で、第3回大会でも広瀬八段の指名を受けていたが、個人成績は負け越しとあり「もう呼ばれないと思っていた」。リベンジを掲げて出場した今期は攻撃的な姿勢と終盤の切れ味が冴えわたり、深浦九段をも最短距離で押し切った。
圧巻は4勝3敗で迎えた最終局。「勝利投手を。青嶋さんで決めてきてください」と広瀬八段に背中を押され、いよいよ相手リーダーの豊島将之九段(32)との大一番に向かった。戦型は先手の豊島九段が居飛車穴熊、後手の青島六段は三間飛車ミレニアムを採用。絶対に負けられない豊島九段は、飛車交換から猛攻をしかけて青嶋六段の時間を大きく削った。しかし、青嶋六段は勝負どころで角を犠牲に△9六歩と強く踏み込み、豊島九段を圧倒。局後には「端攻めが決まったのは“国士無双”だったと思います」と自軍のチーム名を引き合いに出して会心の笑みを見せた。
この結果で、Cリーグ第1試合はチーム広瀬が予選突破に王手をかけた。広瀬八段はチームメイトを労うとともに「青嶋六段に救われた。3勝してくれるポイントゲッターがいてくれて非常に心強い」と大絶賛。第1試合の殊勲賞となった青嶋六段は「勝ったので勝ち逃げしたいんですけど、そういうわけにもいかない」とジョークを飛ばす余裕も見せ、「国士無双の名の通り自信をもって高い“上がり”をできるように頑張りたい」と意気込みを語っていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)