将棋の藤井聡太王位(竜王、叡王、王将、棋聖、19)が9月6日、静岡県牧之原市の「平田寺」で行われたお〜いお茶杯王位戦七番勝負第5局で挑戦者の豊島将之九段(32)に勝利し、タイトル防衛と3連覇を達成した。終盤の攻防戦では1筋に角を打つ一手から優位を築き、ABEMAの解説に出演した広瀬章人八段(35)を「名手」と唸らせた。
3連覇を目指す藤井王位と4期ぶりの復位を狙う豊島九段の激突となった本シリーズ。最終局となった第5局は、1勝3敗でカド番に立つ豊島九段の先手で角換わり腰掛銀の戦型となった。1日目は藤井王位の手番で指し掛けに。後手の封じ手は攻勢に転じる号砲となる歩の突き捨ての一手だった。
本局で決める、という藤井王位の強い意思を示すような猛攻に対し、絶対に負けられない豊島九段は絶妙なバランス感覚で対抗した。先手は持ち駒の角を自陣の奥深く、玉の左隣の9筋に配置。後手の守り駒となっている金に狙いを定め、戦況を打開しにかかった。藤井王位は、駒音高く1筋に角を打ち付け対抗。ABEMAの中継に出演した門倉啓太五段(35)は、「遠見の角に好手あり、ですね。角の利きは止めづらいんですよね。お手上げになっちゃいますね」と驚きの声を上げた。同じく解説を務めた広瀬章人八段(35)も「名手。発見しにくい手なので(豊島九段も)長考になったんだと思う」とコメント。藤井王位が優位を確立させた一手だった。
この一手に、視聴者も「切れ切れ聡太さん」「凄すぎて意味わからん」「こわい」「ゾーンに入ってる」「自信の表情に見える」「なにこれ」「豊島九段ため息ついた?」と騒然としていた。
終局後には、豊島九段もこの端角に「かなりきつくてだめかなと思った」と直後の印象を語っており、そのインパクトは強烈だったようだ。長く難解な終盤戦を制した藤井王位は、防衛3連覇に加えて、タイトル獲得通算10期に到達と史上9人目の偉業を成し遂げた。広瀬八段は「見慣れない形で、正解手を指し続けるのは難しい将棋だったと思う。概ね藤井王位の快勝だったと思う」と一局を総括した。
(ABEMA/将棋チャンネルより)