永瀬拓矢王座、千日手指し直しの激闘を制し待望の1勝飾る 豊島将之九段とのシリーズは1勝1敗に/将棋・王座戦五番勝負第2局
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 将棋の王座戦五番勝負は9月13日、愛知県名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で第2局が指され、永瀬拓矢王座(30)が挑戦者の豊島将之九段(32)に勝利した。千日手指し直しの末に、4連覇を目指す永瀬王座が1勝を返してシリーズは1勝1敗に。第3局は9月27日、京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で予定されている。

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 この展開を誰が予想していただろうか。豊島九段が先勝を飾って迎えた第2局は、角換わり腰掛け銀出だしから異例のハイスピードで指し進められた。途中まで今年3月に行われた第47期棋王戦五番勝負第3局で渡辺明棋王(名人、38)対永瀬王座戦の変化手順とあり、指し手は止まらない。午前中で終盤戦に突入した将棋に、ABEMAの中継に出演した解説からは「こんな将棋見たことない」との声が上がっていた。わずかに豊島九段が抜け出したかと思われたが、長考合戦となった午後の戦いで両者が選んだ道は、千日手指し直しだった。

 午後6時43分、118手で千日手が成立。終局後、永瀬王座は「(馬を踏み込まれた時の)認識が甘く、何を指して良いかわからず準備不足だったなと思った。(千日手は)こちらとしては仕方がないと思っていた。先手からの手段が多く、何を指しても大変で自信がなかった」、豊島九段は「(香取りの一手に)際どいと思っていたが、あんまり。自信がある手順が浮かばなかった」と振り返った。

 先後を入れ替え、指し直し局は永瀬王座の先手番で、再び角換わりの出だしとなった。指し直し時点での持ち時間は永瀬王座が2時間19分、豊島九段1時間。じりじりとした序盤戦で、両者慎重に持ち時間を削りながら読みを深めていた。

 いよいよ決着をつけるべく、先に仕掛けたのは豊島九段だった。銀を出て、飛車角交換を催促。しかし、解説の深浦康市九段(50)からは「少し過激だったか」。永瀬王座は敵陣に切り込むように角を打ち込み、優位に立った。一気に終盤戦になだれ込むと、永瀬王座はゼリー飲料でこまめにエネルギーチャージを図り気合十分。もう逃さないとリードを押し広げ、待望のシリーズ1勝目を手にした。

 永瀬王座が優勢を意識したのは、豊島九段の秒読み突入後。「(銀打ちに)飛車成で切り返せていれば、少し指せているんじゃないかなと思った」。一方、指し直し局を落とした豊島九段は「序盤は作戦負けだった。飛車の取り合いになってはっきりまずいので、その前のところでしょうか。もしかしたらどうやってもまずかったのかもしれない」と疲れをにじませていた。

 この結果、シリーズは両者ともに1勝1敗。シリーズはイーブンの状態で第3局に向かう。4連覇を目指す永瀬王座か、2014年以来2度目の挑戦で初の王座奪取を狙う豊島九段か。次局は2週間後の9月27日、京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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永瀬拓矢王座VS豊島将之九段の千日手指し直し局開始/将棋・王座戦五番勝負第2局