■勤務中に漏らしてしまった人、周囲の発言で不眠症になった人も

 この病気と15年以上向き合うのが、30代の山田けんじさん(仮名)。中学生の時に友達づくりがうまくいかず、ストレスで発症した。「常におなかにガスが溜まっている状態で、おならをしたくなってしまう。急に便意をもよおす時もある」。

【写真・画像】1日20~30回もトイレに…過敏性腸症候群の当事者が語る苦悩 乙武洋匡「漏らしたことのある人間としては、周りも本人も寛容に思ってほしい」 2枚目
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 平均で1日10回はトイレに行くそうで、特に苦痛に感じるのは通勤での電車移動だという。「どうしても狭い空間、密室で逃げられない空間になると、不安になってしまう」。目的地の手前で下車して、トイレに駆け込み、会社に遅刻してしまうこともしばしば。

 また、勤務中に漏らしてしまった経験もあるという。「すぐトイレに行って、人に見えないように下着を洗った。臭いとかでバレないように…」。

 周囲の理解のなさから苦しめられた人もいる。専門学生1年の田中良さん(仮名)は、高校生の時に発症。主に便秘の症状が出るという。「学校にいる時はおなかにガスがたまるというか、おなかがポコポコ鳴ったりおならみたいな音が出て、くすくす笑われたりひそひそ話が聞こえたり。すれ違う時に『臭い』と言われたのが本当に頭から離れない」。

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 そのショックから不眠症も患い、薬がないと寝られない状態にまで追い詰められた。そんな彼が今悩んでいるのが、就職への不安だ。「デスクワークだと周りに迷惑なんじゃないかと。在宅や1人でできる仕事がないかと探している」。

■1日20~30回もトイレに 「“その場所から逃げられない”という時に症状が」
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