■医師「◯◯病ではなく症候群。人によって原因はさまざま」

「過敏性腸症候群(IBS)」のメカニズムについて、内科医でナビタスクリニックの久住英二氏は「いろいろな要因が症状を起こすことはわかっているが、千差万別。ストレスからおなかの調子が崩れるといった、脳が腸に影響している場合もあるし、逆に腸から脳へのストレスで症状が出る人もいる。これは症候群であって、つまり〇〇病ではなく、症状を呈する一群のものであり、原因は人によって全然違う。画一的に“これをやったら治る”というものではないので、いい解決法に巡り合えずに苦しんいる方も多い」と説明。
治療法については、すぐに解決できるものではなく、付き合っていく必要があると話す。
「代表的なのは、水溶性の食物繊維の錠剤を飲むとか、胃腸の動きを抑える薬を使うとか、食事で気をつけていただく。例えば、脂肪分の多いものは控えましょうとか、食物繊維を摂りましょう、といったことだ。特効薬がないので、医療者としても“今どんな具合? どうしたらいい?”という話を聞きながら付き合っていく。“名医にズバッと治してもらいたい”という気持ちもあると思うが、かかりつけの町医者と付き合っていき、様子を見ながら少しずつやり方を変えていく。そうしているうちに環境が変わって治っていく方もいる」

カウンセリングも有効なのか。「本人がやる気になって、カウンセラーと向き合おうと思わなければうまくいかない」とする一方で、「我々が病気として対処すべきかどうかを判断する基準は、その方の社会生活に支障をきたす原因になっているかどうか。『ちょっとお腹が緩いけど、困ってはいない』という方はいいが、会社に行けないとか、学校に遅刻してしまうということがあれば対処する。ただ、お医者さんに行ったけど、あまり親身に相談に乗ってもらえなかったことで傷ついてしまって、“相談しても無駄だな”と思う場合もある。なので、『今日はちょっとお腹が緩いんですけど、どのお薬飲んだらいいですか?』『じゃあこれを飲んでおいて』とLINEでやりとりするような、症状に対して簡単にアドバイスができればもっとコントロールが容易になる」との見方を示した。
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