将棋の棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメントが11月5日に行われ、羽生善治九段(52)が伊藤匠五段(20)に勝利した。この結果、羽生九段は勝者組決勝戦に進出。2014年度以来8期ぶりの棋王挑戦から、タイトル通算100期獲得に向けて前進した。次戦では、佐藤天彦九段(34)と挑戦者決定二番勝負進出をかけて対戦する。
“レジェンド”羽生九段が夢の大台「タイトル通算100期獲得」に向けてまた一歩近づいた。挑決トーナメント準決勝では、プロ入り2年目、20歳の新鋭・伊藤五段と初対戦。伊藤五段の先手番で「相掛かり」の出だしとなった。序盤戦は伊藤五段の用意した作戦か、比較的早いペースで進行。羽生九段は慎重に持ち時間を使い、先手の真意を探った。
昼食休憩が明けると、午後からは本格的な攻め合いに。羽生九段は中央地点に飛車の重ね打ちを繰り出すと、伊藤五段は持ち時間の約半分となる1時間55分を投入。大長考から敵陣に強く踏み込み、優位に立った。
中盤以降は中段で大駒が押し合う激しい展開に。伊藤五段が快調に攻めていると見られていたが、辛抱の時間が続いていた羽生九段が入手した角で待望の反撃開始。ここからABEMAの「SHOGI AI」は羽生九段に傾き出した。ABEMAの中継に出演した黒沢怜生六段(30)は「(角打ちは)絶好の一手。これが無ければ先手の勝ちだったと言えるくらい必殺の一手だった。“マジック”と言ってもいいと思う」とコメント。羽生九段は冷静に先手玉の上部を包囲するとじわじわ制圧し、鮮やかに勝利を飾った。
終局後、羽生九段は「序盤から激しい展開になって、途中からはあまり自信がなく指していた。ずっと際どいと思って指していた」とコメント。一方、敗れた伊藤五段は「序盤から激しい展開になってペースかと思っていたが、飛車打ちを軽視していた。あそこはどうやっていいかわからなかった。その後も少し指せそうと思ったが、どこでおかしくしてしまったかわからない」と肩を落としていた。伊藤五段は敗者復活戦に回り、次戦は藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)と対戦する。
永世棋王の資格を保持する羽生九段は、2014年度以来8期ぶりの挑戦に大きく前進。次戦以降を勝ち進み挑戦権を獲得、さらに現タイトルホルダーの渡辺明棋王(名人、38)から奪取を果たした場合は、2004年度以来18期ぶりの復位と前人未踏のタイトル通算獲得100期達成となる。次戦、勝者組決勝戦では佐藤九段と挑戦者決定二番勝負進出をかけて戦う。
(ABEMA/将棋チャンネルより)






