将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が11月14日に行われた順位戦A級5回戦で、広瀬章人八段(35)に93手で勝利した。難解な中終盤のねじり合いを制し、解説者は「強い内容の勝ち方だったと思う」と総括。さらに、藤井竜王は2枚の金を不動のまま勝ち切り、視聴者からは「人間将棋なら泣いちゃう」「そんなんありえる!?」と驚きの声が上がっていた。
ともに3勝1敗で迎えたA級5回戦。竜王戦七番勝負シリーズ中の両者が、順位戦A級に舞台を移しての激突となった。竜王戦第4局に続き藤井竜王の先手番で始まった本局は、後手の広瀬八段が注文を付けて雁木模様に。藤井竜王は速攻に出て、激しい攻め合いへと進行した。
互いに長考を重ね、中終盤は難解なねじり合いに。藤井竜王がペースを握るも、広瀬八段も簡単にはリード拡大を許さず、必死に反撃への道筋を探った。しかし、藤井竜王は緩まず鋭い攻めを展開。「玉をどう安定させればいか、難しい将棋だった」と振り返ったが、最後まで落ち着いた指し回しで寄せ切って見せた。
ABEMAの視聴者は、終盤戦での先手陣九段目に着目。藤井玉はぐいぐいと前進をしていくが、金将、桂馬、香車の6枚は初形のまま。ファンからは「玉が一人で戦ってるぞ」「居玉ならぬ居金」「またヤバイ棋譜を」「終局までに金桂香が動けるか」「桂馬大好きじゃなかったのかー!」「香車が動かないのはよく見るけど金が不動?」「もはやイミフw」「そんなんありえる!?」「ちょっと衝撃が…」「ほんとだ、6枚不動」「銀と玉しか動いてないw」のほか、全駒を動かすことが暗黙のルールとされている人間将棋にかけて「人間将棋なら金将ちゃん泣いちゃう」などと多くのコメントが寄せられていた。
86手目に広瀬八段が桂馬を取ったが、自身では動かすことなく勝利。玉を囲い、駒を効率よく働かせる概念を打ち破る圧巻の勝負術に、解説を務めた屋敷伸之九段(50)は「広瀬八段の猛追劇の中で、藤井竜王の強い内容の勝ち切り方だったと思う」と総括していた。
藤井竜王は初参戦の順位戦A級を4勝1敗の首位タイで後半戦へ。「まだ折り返しなので挑戦は意識していない。一局一局を大事に」と話し、次戦の佐藤天彦九段(34)戦に視線を向けていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)