将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が11月20日、将棋日本シリーズ JTプロ公式戦の決勝で斎藤慎太郎八段(32)を114手で破り、初優勝を飾った。なお、この結果で羽生善治九段(52)が保持していた21歳2カ月での最年少優勝記録を10カ月更新。さらに、2011年小学3年時に同こども大会優勝も飾った思い出の大会で、史上初プロ公式戦との“ダブル優勝”達成の快挙に「大変嬉しく思っています」と喜びを語った。
こども大会優勝から11年、藤井竜王が4年連続4回目の出場となるプロ公式戦で“凱旋”初優勝を飾った。本局は、ともに小学3年生でこども大会優勝経験を持つ斎藤八段との対決。どちらが勝っても大会初優勝とあり、大きな注目を集めていた。振り駒の結果、先手番は斎藤八段で「角換わり」の出だしとなった。両者とも速いペースで指し進め、封じ手までに50手進行。再開後からは両者ともに強く踏み込み、激戦へと展開した。
難解な中盤戦で先に抜け出したのは藤井竜王。斎藤八段も負けじと必死に攻撃を繰り出すも、藤井竜王は冷静にリードを拡大。終盤戦でも全く隙のない圧巻の指し回しを見せ、斎藤八段を振り切って初優勝を手にした。
藤井竜王は「玉が薄い形で戦うことになり、判断の難しい一局だった。(2筋の香打ちから)飛車を取りにいって攻めを受け止める展開にできたのかなと思う」と一局を振り返った。4度目の出場でついに“JT杯”を手にし、「これまでなかなか結果が出せていなかったので、大変嬉しく思っています」と喜びを噛みしめていた。
一方、準優勝となった斎藤八段は「封じ手のところで仕掛けるか難しい判断になったが、飛車を狙われる筋を見落としていた。勝負所を見誤り、悔やまれる一局だった」と悔しそうな表情を浮かべていた。
これまでの最年少優勝記録は、羽生善治九段(52)が1991年に達成した21歳2カ月。藤井竜王は20歳4カ月で初Vを飾り、10カ月の記録更新となった。現在初防衛をかけて戦う竜王戦七番勝負真っ最中の藤井竜王にとっては追い風となる嬉しい初優勝。新たな年少記録を打ち立てた藤井竜王の今後の戦いから、ますます目が離せない。
◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降、竜王1期、王位3期、叡王2期、王将1期、棋聖3期と、獲得と防衛を重ねて通算10期。棋戦優勝は6回。通算成績は290勝58敗、勝率は0.8333。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)