ファン待望の決戦が、新年早々ついに実現する。1月8日開幕のALSOK杯王将戦七番勝負で、藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)は、タイトル99期のレジェンド羽生善治九段(52)と、タイトル戦で初めて対戦する。通算成績こそ藤井王将が7勝1敗と大きく勝ち越しているが、羽生九段にタイトル100期の大記録がかかるとあって、関係者・ファンの間では2人の天才が初対決した時以来の注目度だ。将棋好きアイドルであるSKE48鎌田菜月も、対決が決まった時から「対戦が叶ったことがうれしいです!」と興奮気味。両棋士への思いや七番勝負の見どころを聞いた。
【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負 第一局1日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段
タイトル戦に11回出場し全てでタイトルを手にしている藤井王将と、「七冠独占」「永世七冠」を達成し断トツの通算99期を数える羽生九段。間違いなく将棋界の歴史に残るビッグカードだ。2人は藤井王将が2016年10月に四段昇段を果たしてまもなく、ABEMAの「炎の七番勝負」という先輩棋士7人と対戦する企画の最終戦で対戦。当時14歳だった藤井王将が、三冠保持者だった羽生九段に勝利したことで、スポーツ紙の1面を飾るほど業界内外に大きなインパクトを与えることになった。その後、藤井王将は史上最多の29連勝を飾り、次々と最年少記録を樹立。一方、羽生九段はそれから2年後、27年ぶりに1つのタイトルも持たない無冠に転落した。
鎌田 藤井先生がどれだけ棋士の先生たちに立ち向かっていけるかを試したのが、ABEMAさんの企画じゃないですか。そこから年月が経ちましたけど、ついにタイトル戦ですね。独特の緊張感もあるだろうし、羽生先生も藤井先生とのタイトル戦に行くまで、大変な過程があったので、また気持ちも違うと思います。羽生先生がどこまで藤井先生への対策を作ってくるのか、期待しています。
同じ愛知県出身ということでプロデビュー以来、藤井王将を応援してきた鎌田だが、20歳にして頂点に立ったことで、今度はどんなライバルが現れ、熱い戦いを繰り広げるかを待ち望むようにもなってきた。
鎌田 藤井先生はようやく20歳じゃないですか。そこに複雑な感動を覚えています。将棋のニュースを拝見すると、若手の誰々がとか、これからの棋士が、というカテゴライズの記事を見ても、藤井先生は「フレッシュ枠」じゃなくなっちゃっているんですよね。本当だったら、まだまだフレッシュ枠なのに(笑)。
藤井先生の将棋は揺るがないものだと思っていたんですが、去年の竜王戦七番勝負で広瀬章人先生(八段)が2勝して震わせられたのは、見ている側としてはすごく楽しかったです。藤井先生は圧倒的に強さがあるし、苦戦していてもちょっと目を離していると逆転してしまっている。将棋の神様にすごい近い人だなと思っていたんですが、負ける時を見ると人間なんだなと思えるところですし「藤井最強!」となるより、いろいろな先生が対抗していける方が、見ている方としてはもっと楽しめるのかなと思えるところもあるので、これからに期待したいと思います。
藤井先生が上の世代にどんどん対抗していく「次はあの強敵を倒せるのか!?」みたいだったものが、今は藤井先生が五冠にもなって、立場が逆転しちゃっているじゃないですか。それもあって欲を言えば、藤井先生と羽生世代と呼ばれる人の間の世代の方がもっとガッと出てきてほしいです。さらにもっと欲を言えば、藤井先生の世代の人たちがもっと上がってきてくれると、10年後ももっと楽しく将棋が見られるんじゃないかなと思います。
この6年間、藤井王将を応援してきた鎌田だが、同時に将棋ファンでもあることから、今回ばかりは羽生九段側の応援に回るという。
鎌田 現状、藤井先生が勝っていることが多いので、羽生先生に期待してしまうし、応援してしまいます。長く見たいので、羽生先生が4勝3敗で勝つというのが見たいですね。藤井先生はトントンと勝つことが多いので、いい感じに競っていただけると、見ている方としてはいいんじゃないでしょうか。藤井先生と羽生先生が並んでいる姿を見られるだけでも、ファンとしてはうれしいですし、最近だったら対局場に入る時の姿をカメラで見られるファンサービスみたいなコンテンツもありますよね。そういうところを見られたらより楽しいのかなと思います。エンタメ寄りな楽しみ方をするなら、将棋界の元祖の天才と、これからの天才。その対比が楽しみです。
藤井王将が防衛すれば年度内の六冠、さらには2023年内の八冠独占に大きく前進することになる。羽生九段がタイトル奪取すれば、前人未到のタイトル100期を成し遂げ、再び広く日本中に「羽生健在」を示すことになる。約400年の将棋史にしっかりと刻まれる天才2人のタイトル戦。1局たりとも見逃せるものはない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)