5年目にして、レギュラーシーズンで初の個人成績マイナス。内心は煮えたぎっていたはずだ。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2022-23」3月17日の第2試合は渋谷ABEMAS・多井隆晴（RMU）がトップ。この日は自身51回目のバースデー、第1試合に続く登板で、見事にその記念日を祝った。
試合は起家から多井、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾（協会）、赤坂ドリブンズ・園田賢（最高位戦）、KONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典（連盟）の並びで開始。この時点で7位の赤坂ドリブンズとは500ポイント近い差があり、レギュラーシーズン突破はほぼ確実。多井に与えられた使命はマイナスを減らし、セミファイナルシリーズが有利に戦える4位以上を目指すトップだ。
多井は東1局、愚形ばかりで「アガれる確率は3％くらい」と感じていた手をテンパイまで進めてリーチ。これを滝沢からアガってリーチ・ドラ・裏ドラの7700点、嬉しい先制点を手に入れた。東2局は滝沢のリーチに追っかけ、堀からロン、2600点。東3局は絶好の2・5・8索待ちでリーチをかけ、終盤にツモ。リーチ・ツモ・赤・ドラの8000点で持ち点は4万点オーバー。こうなると鉄壁の守備力を誇る男は崩れない。堀の猛攻を凌ぎ、南4局は園田のアガリを見送ってトップ終了。51歳の誕生日を勝利で飾った。
勝利者インタビューでは「強いメンバーなので厳しい戦いになると思っていた」とこの試合を振り返り、東1局の僥倖のアガリには「奇跡が起きました」。51歳の抱負を聞かれると「たくさんのファンの方のおかげ、Mリーグを作ってくださる方、運営の方のおかげで、好きなことをやって、お仕事させていただいているので、やりたいことがほとんどやれちゃっていますし、夢とか、そういうのはほとんど叶ったので。後はMリーグを優勝することぐらいしか希望がないというか。優勝ができた後はこの業界で生きてきた人間として恩返しがしたいと思います」と、多井らしい言葉で今後の展望を語った。
MVP争いとは遠かった今期。上位の選手がTwitterでもこの争いを盛り上げているところを見て「この人たちが出てくる前は、僕が最強と呼ばれてたんだけどな。こうやっていなくなっていくのかな」と人知れず寂しい思いがあったことを明かした上で「負けたくないなという思いがまた少し芽生えてきて、今MVP争いをしている皆さんに感謝というか、刺激を受けたので、まだまだ負けないぞと、セミファイナル、ファイナルきっちり勝って、逆転優勝したいと思います」と力強く宣言した。これにファンからは「まだまだ頑張って欲しい！」「たかちゃんおめでとー！」「大逆転頼む！」「カッコイイぞ隆晴！」とエールが。
この日は2試合登板で連続連対、放銃は0回。かつて最速最強の名をほしいままにした強い多井隆晴が戻ってきた。狙うのは優勝ただ一つ、熱い思いを隠すことなく、チーム一丸でポストシーズンへ挑む。インタビューを終えた多井は、しばし天を見上げ、その瞳は潤んでいた。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴（RMU）4万2100点／＋62.1
2着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾（協会）3万9000点／＋19.0
3着 赤坂ドリブンズ・園田賢（最高位戦）1万2300点／▲27.7
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典（連盟）6600点／▲53.4
【3月17日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 ＋614.2（92/94）
2位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ＋528.0（92/94）
3位 KADOKAWAサクラナイツ ＋35.1（92/94）
4位 U-NEXT Pirates ▲1.1（92/94）
5位 渋谷ABEMAS ▲26.1（92/94）
6位 TEAM雷電 ▲56.3（92/94）
7位 赤坂ドリブンズ ▲537.3（92/94）
8位 セガサミーフェニックス ▲556.5（92/94）
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019-20シーズンから全8チームに。各チーム4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム94試合（全188試合）。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各20試合・全30試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（16試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
