新生・森保ジャパンは、24日にウルグアイ代表と、28日にコロンビア代表と対戦した。FIFA ワールドカップ カタール 2022以降、初のインターナショナルマッチウィークで再スタートを切った日本代表は、第1期で問題視された戦術面の変化の乏しさがアップデートされた。
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アシスタントコーチが入れ替わって舵を切り直した第2期において、一転して「変化の大きさ」を示した戦術面とは具体的になにか。森保一監督の選手起用を軸に考察していく。
ウルグアイ戦で「偽サイドバック」にトライ
新生・森保ジャパンの初陣は「偽サイドバック」から始まった。ウルグアイ代表との一戦で見せたこの戦術は、新たに入閣した名波浩コーチの提言によるものだという。
偽サイドバックとは、大まかに言うと、左右のサイドバックが従来のポジションである大外レーン(ピッチを縦に5分割した際に一番外にあたるレーン)から中央のレーンに向かって移動することだ。相手のディフェンスの基準点をズラしたり、最終ラインから前線の大外レーンへのパスコースを作るといった狙いで使われる戦術である。
これにより、日本のウイング陣を生かすことが期待されたものの、サイドバックが状況に関係なく中央に絞ったことにより、センターレーンで特徴を発揮する鎌田大地が活躍するスペースがなくなってしまったほか、内側に絞ってプレーすることが得意な右WGの堂安律と右SBの菅原由勢のプレーエリアが被るなど“選手の渋滞”が起きてしまい、あまり機能しなかった。
コロンビア戦で偽サイドバック廃止
ウルグアイ戦の失敗を受け、コロンビア戦は偽サイドバックが使われなかった。右SBには、ウルグアイ戦と同様に菅原を起用したが、左SBは守備的な伊藤洋輝から攻撃的なバングーナガンデ佳史扶を抜擢してスタートした。
両SBが中央に移動する場面はほとんど見られず、積極的なアンダーラップで攻撃に参加する場面が目立った。そのため、前の試合に比べて三笘薫、伊東純也を筆頭にサイドからの攻撃が活性化した。ビルドアップは相手が4-1-4-1のような陣形でプレスをかけてきたため、ボランチの守田英正や鎌田が相手の1トップの後ろのスペースに顔を出し、うまくボールをつないだ。しかし、そこで2人がスペースを消しあう現象も何度か起きたため、改善の必要があるだろう。
また西村拓真と町野修斗の連係も改善が必要だ。2選手ともに代表での経験が少ないため、守備の連係が取れず、連動してプレスをかけることができていないように見えた。その擦り合わせがうまくいくだけでチーム全体の守備のタスクはかなり軽減されるだろう。うまくいかない場面も多かったが、このコロンビア戦の前半は、2試合を通して振り返ると、最も希望の見えた45分だったと言える。
迷走したコロンビア戦終盤
コロンビア戦の終盤は、フォーメーションが迷走する場面が見られた。交代でピッチに入った浅野が、監督に手渡された「陣形メモ」を共有したが機能したとは言えず、ピッチ全域が混乱に陥っていた。ビハインドを負っている展開だったため、2トップおよび、中盤ダイヤモンド型の4-4-2に移行した上で、SBをより攻撃参加させる意図があったのかもしれないが、そういった狙いが不明確なままタイムアップを迎えてしまった。
様々な変化を加えたという点で、この2試合はポジティブなものだった。しかし、そこで露呈した欠点は、「優勝」を目指す2026年のワールドカップに向けて大いに改善の余地がある。6月の代表戦では、今回の2試合で見えた問題を可視化して、アップデートできるだろうか。
(C)浦正弘(ABEMA/キリンチャレンジカップ2023)