2022年12月、FIFAワールドカップカタール2022でドイツ代表とスペイン代表を相手に同点弾を決め、反撃の狼煙を上げた“日本の英雄”堂安律がやや苦しんでいる。
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キリンチャレンジカップ2023では、2試合ともに明確な結果を残せなかったのだ。堂安はなぜ、輝けなかったのか。カタールの地で強豪を相手に全世界に示した「反骨精神」の塊とも言える男は、この現状をどう打破していくのだろうか。
目に見える結果を残せなかった2連戦
森保一監督率いる日本代表は、ウルグアイ戦、コロンビア戦を経て3年後に迫る次回のワールドカップに向けて新たなスタートを切った。そのなかで堂安は、ウルグアイ戦は先発メンバーに名を連ねて右サイドハーフとして61分までプレー。続くコロンビア戦では54分からの途中出場で同じく右サイドハーフとしてピッチに送り出された。
どちらの試合でもボールを持てば果敢な仕掛けを見せ、クロスボールを供給するなどゴールに迫るシーンも見られた。しかし、得点やアシストといった目に見える結果は残せず。
特に、慣れないタスクを任されたウルグアイ戦の後は「(三笘)薫くんは一対一が強いですけど、僕の場合は(菅原)由勢が上がってくれたほうが特徴も生きるので、そこの回数はもっと増やしていきたい」とコメントしている。本人としても不完全燃焼なのだろう。
日本代表とフライブルクの違い
堂安は所属するブンデスリーガのフライブルクでも、日本代表と同じ右WGとして主に出場している。しかし、クラブでは基本的に内側に絞ってプレーすることが多い。もちろん最後の局面では大外から仕掛けることもあるが、常にサイドに開きっぱなしのスピード優位のアタッカーというわけではない。
一方、ウルグアイ戦は4-2-3-1の右WGでプレーしたが、右SBの菅原由勢が内側に絞る立ち位置を取り、堂安は大外に張って仕掛ける役割を求められた。彼は本質的に、スピード勝負で仕掛けるサイドアタッカータイプではないため、ややプレーしづらかったのだろう。
その反省を受けてか、続くコロンビア戦は同じ右WGでも、クラブとプレーエリアが近い絞り気味の位置を取った。しかし途中出場してすぐに失点し、78分からは慣れない4-4-2のダイヤモンドでプレーすることになり、最終的に自分の良さを発揮できないまま終わった。
代表での立ち位置をもぎ取るためには
現在の日本代表は成長過程であり、どの組み合わせが最適解かは完全に決まっていない。ただし、堂安は向上心の強い男だ。間違いなく自身がその中心にいることを望んでいるだろう。今季ブンデスリーガで4位を走るフライブルクの主力メンバーとして、4ゴール5アシストを記録するなど勝気なアタッカーはしっかりと結果を残している。
今後もこの好調を維持して、あるいは、さらなる成長を見せて自分を中心選手とするチーム作りを監督やチームメイトに納得させることができれば、自分がフィットする形を代表内でも構築してもらえるはずだ。
逆風を力にする男──。やや苦しんでいる今こそ、堂安を注視するべき時なのだ。
(ABEMA/ブンデスリーガ)
(C)浦正弘