やはり、遠藤航の存在は心強い。森保一監督率いる日本代表は、ウルグアイに1-1のドロー、コロンビアに2-1の敗戦という成績で、FIFAワールドカップカタール2022後、初の代表活動を終えた。勝利こそなかったが、“新リーダー候補”遠藤航の安定感が光った。
【映像】日本代表の「超攻撃的システムの心臓」となった遠藤航
以前からボランチの主軸としてプレーしている“デュエル王”は、ブンデスリーガでの実績も加味すると、今後の森保ジャパンでも確実に中心選手となりそうだ。
次世代の精神的支柱となっていくべきなのが遠藤航
南米の強豪ウルグアイを相手に先発のピッチに立った遠藤は、ダブルボランチの一角としてフル出場を果たした。守備面ではもはやワールドクラスと言って差し支えないデュエルの強さを発揮。レアル・マドリードでプレーするフェデリコ・バルベルデらを擁するウルグアイの中盤を相手に一歩も引かない戦いぶりを見せた。
コロンビア戦こそ後半途中からの出場となったが、失点を取り返すために超攻撃的システムで戦うなか、1人で中盤の守備面でのタスクを完遂した。日本が選んだ戦いは、遠藤のような広大なスペースをカバーできる中盤の選手なしに選択できないものだった。
戦術面では、様々な局面においてすでに代表で欠かせない選手になっている。
加えて、ウルグアイ戦は守備面の貢献だけでなく、キャプテンマークを巻き、リーダーとして奮闘する姿も見せた。今回の代表には、約10年間にわたり日の丸を背負った34歳のベテランCB吉田麻也が入っていない。そろそろ世代交代の時期なのかもしれない。
そして次世代の精神的支柱となっていくべきなのが、遠藤だろう。
ギリギリの戦いでさらなる進化を
ゲームキャプテンという重責を担った代表ウィークが終わり、遠藤としては一息つきたいところだろうが、残念ながら今の彼にはそんな余裕はない。
というのも今季のシュトゥットガルトは明確な戦い方を構築できず、開幕から9戦未勝利が続いた。結果、10月にはアメリカ人指揮官ペッレグリーノ・マタラッツィオの解任に踏み切ることになった。
この緊急事態にクラブは、ブンデスリーガ屈指のモチベーターとして知られるブルーノ・ラッバディアを招聘したが、それでも状況は上向かず、リーグ最下位に沈みクラブはまたも監督を解任した。このままでは2部への降格の可能性が高いという危機的状況だ。
こうしたチームにおいて、遠藤は主将でかつインサイドハーフのレギュラーとして出場している。高いボール奪取能力や、無尽蔵のスタミナを武器に中盤の攻防を制する姿が印象的で、個人能力の高さで無理矢理局面を打開するシーンも少なくない。
今後も彼の活躍がなければ、クラブの残留はないだろう。遠藤はコロンビア戦後に「次につなげないといけない。(所属するシュトゥットガルトに戻って)昨季に続き、常にシビアな戦いが待っている」と語り、厳しい戦いが待つドイツの地へ帰っていった。
現在30歳、クラブでは2番目の年長者となった。多くを語るタイプではないが、背中で引っ張り、クラブの窮地を救うことができるか。そして、リーダーとしてさらなる進化を見せるのか。キャリアの正念場であるとともに、大きな期待をその肩に背負っている。
(ABEMA/ブンデスリーガ)
(C)浦正弘