将棋の第81期名人戦七番勝負は5月13日、大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で午前9時から第3局の対局を開始した。今期は、4連覇を狙う渡辺明名人(39)に、最年少名人獲得を目指す藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が初挑戦するビッグマッチ。開幕から2連勝とスタートダッシュを決めた藤井竜王が名人獲得にあと1勝と迫るか、渡辺名人が反撃を開始するか、大注目の一局だ。
4月初旬に開幕した名人戦七番勝負は、中盤戦の第3局に突入。本局の舞台は、2024年秋に関西将棋会館が移転予定の高槻市だ。市制施行80周年を記念し、「高槻城芸術文化劇場」のオープニング記念事業として開催されている。
第1局は、渡辺名人の先手で雁木模様の出だしに。力戦から長く難解な中盤戦に突入し、長考合戦が繰り広げられた。渡辺名人は受けよりも攻め、積極性を優先させて敵陣深くに切り込んで行ったが、藤井竜王はあくまで冷静。飛車を軸とした攻めの構成で先手玉を追い込み、じわじわとリードを拡大させた。最終盤では、角を攻守に活用して渡辺名人の猛攻を受け切り、藤井竜王が風格漂う緩急自在の指し回しで堂々初白星を勝ち取った。
続く第2局は、矢倉の力戦の進行に。互いに繊細な駆け引きを繰り広げた。中盤戦では藤井竜王は角を捨てて激しく攻め込むかと思いきや、長期戦を見越した角引きを選択。渡辺名人は飛車を成り込み先手の飛車角両取りで抜け出したかと思われたが、直前に藤井竜王が打ち込んでいた香車が終盤で大活躍。成香から桂打ちのコンビネーションで後手玉の急所を正確にとらえて、藤井竜王が87手で連勝を飾った。
藤井竜王が奪取した場合は、谷川浩司十七世名人(61)が保持する21歳2カ月という名人獲得の最年少記録を40年ぶりに更新。さらに羽生善治九段(52)に続く史上2人目の七冠となる。このまま挑戦者が一気に名人位に“王手”をかけるのか、4連覇に向けて渡辺名人がまずは1勝をもぎ取るのか。持ち時間は各9時間の2日制で、第3局の先手は渡辺名人。ABEMAではこの対局を終了まで生放送する。
(ABEMA/将棋チャンネルより)