羽生善治九段、今季全戦全勝の勝率100%もチームは敗退「2人と組めて楽しかった」/将棋・ABEMAトーナメント
【映像】勝率100%で終えた今期の大会を振り返る羽生九段

 個人勝率驚異の100%のまま、チーム敗退が決まった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」本戦トーナメント2回戦・第1試合、チーム羽生とチーム天彦の対戦が8月12日に放送された。新鋭若手2名とチームを組み臨んだ羽生善治九段(52)は、予選とこの日の2勝を合わせて6戦全勝。若手有利とされる早指し戦で圧巻の成績を残した。チームは2回戦での敗退が決まったが、「気さくな2人とチームを組んでいて非常に楽しかった」と、梶浦宏孝七段(28)、伊藤匠六段(20)と挑んだ今大会を振り返った。

【映像】勝率100%で終えた今期の大会を振り返る羽生九段

 羽生九段が、6戦全勝と勝率100%の成績で今大会を終えた。予選の4勝に加えて、本戦2回戦でも2戦全勝。若手からトップ棋士まで次々になぎ倒し、超早指し棋戦でもその存在感を示した。

 2回戦はチーム0-2と劣勢の第3局に登場。波に乗る相手チームのリーダー・佐藤天彦九段(35)との主将対決に向かった。ここでは佐藤九段が「やってみたい作戦がある」と横歩取りに誘導。中盤では佐藤九段のミスを正確にとらえて一気に押し切った。終局後には「横歩取りの中では予想外のバリエーション。受け止められるか怖い瞬間があったんですけど、そこを思い切って踏み込めたのが良かった」と振り返った。

 この一勝で流れを引き戻したいチーム羽生だったが、第4、5局でも伊藤六段、梶浦七段が思うように力を出せずに連敗。1勝4敗と後が無くなった場面で再び羽生九段が登場した。次に対戦したのは、第3回大会でチームメイトだった三枚堂達也七段(30)。序盤から一気に終盤に流れ込む激しい将棋となったが、羽生九段が△4九飛成から決め切って完勝。チームに2勝目を持ち帰ったものの、第7戦を落としてチームの敗退が決定した。

 今大会を負け無しで終えた羽生九段には、今期から新設された個人賞「最高勝率賞」獲得の可能性が残されている。本戦2回戦第1試合を終えた時点では、同勝に藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が同率100%で並んでいるものの、これから本戦に臨む藤井竜王・名人の結果次第では最高勝率賞が羽生九段の手に渡ることも。羽生九段は「(個人賞は)他の人たちの結果次第なので、見守るというところですね」と語り、柔らかく微笑んだ。

 今期の戦いを終えた羽生九段は、「気さくな2人なので、チームを組んでいて非常に楽しかったです」とコメント。ファンに向けて応援への感謝を伝えるとともに、「残念ながらここで敗退となってしまいましたが、大会は佳境を迎えていくので引き続きお楽しみいただければと思います」と呼び掛けていた。

◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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