【第105回全国高校野球選手権記念大会】仙台育英 4-3 履正社(3回戦・第11日・第1試合・甲子園)
選手への強い信頼が、接戦をモノにする原動力となった。宮城代表・仙台育英は3回戦で大阪代表・履正社と対戦。3-3で迎えた8回表に尾形樹人選手(3年)がスクイズを決めて決勝点を奪い、そのまま逃げ切ってベスト8に進出。5番打者のスクイズ、さらにその前の4番・斎藤陽選手(3年)の送りバントという作戦を敢行したことが大きな話題となった。
試合序盤は仙台育英のペースで進んでいるかに見えたが、2回裏に守備のミスを突かれて2点を奪われると、3回裏にはまたも守備のミスに付け込まれ、勝ち越しを許してしまう。4回表に橋本航河選手(3年)のタイムリーヒットで3-3の同点にはしたが、5回以降、ヒットはわずか1本のみ。なかなか突破口が開けずにいた。
そうして迎えた8回表の攻撃。先頭打者の湯浅桜翼選手(2年)がライトへツーベースヒットを放って無死二塁のチャンスを作り、打席には4番の斎藤が。ここまで2試合で4安打、しかも3本はツーベースヒット以上ということで勝ち越しも期待できる場面だったが……須江航監督はここで斎藤に送りバントを指示。斎藤も高めのスライダーにうまくバットを当ててピッチャー前に転がして送りバント成功。1死三塁とチャンスを広げてみせた。
さらに、ここで打席に入ったのは尾形。6日の対浦和学院戦では本塁打を放つなど、決勝点をもぎ取るにはまたとない打者だったが、須江監督はここでもスクイズを指示。すると尾形は履正社の投手・福田幸之介選手(3年)が2球目に投じてきた高めボール気味のストレートにバットを当ててスクイズ。三塁ランナーの湯浅が生還して大事な1点を見事にもぎ取ってみせた。
4番で送りバント、そして5番の尾形がスクイズという具合で、連続のバント攻撃という大胆な戦術には、解説を務めた明徳義塾監督の馬淵史郎氏も「無駄のない攻撃」と絶賛。小技で掴んだこの1点を仙台育英は見事に守り抜き、ベスト8へと勝ち進むことになった。
この試合後、インタビューで答えたのは決勝スクイズを決めた尾形。記者からスクイズのシーンについて聞かれると、「8回が始まる前から監督が『スクイズから試合を変える』と言われていた。(斎藤)陽が送った後だったので、スクイズ(のサイン)が来ると思っていた」と、緊迫した8回表の舞台裏を紹介。斎藤、尾形とも下位打線を打っていた経験からバントなどの練習も絶えずに行ってきたことが大舞台で見事に花開いた。
また、同シーンについて須江監督は、「尾形がゲームを俯瞰して見ていた。打席に入る前にスクイズいくぞ、と伝えていた」と回顧。その後も「尾形だったらできる、と信じてよかった。ナイスプレー、ビッグプレーだった」と称賛のコメントを残しており、「これが僕らのベストゲームに近い」と次戦への自信をにじませている。
斎藤、尾形の高度なバント技術、接戦をモノにした仙台育英の勝負強さを見た視聴者からは、「4番がバントすげぇ」「手堅い」「二連覇!二連覇!」と、昨夏の王者、仙台育英の強さに驚いている様子がうかがえた。
(画像提供:バーチャル高校野球)
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『熱闘甲子園』動画一覧
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日 | 見どころ(タップで動画へ) |
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