「名誉王座」か、「八冠制覇」か――。世紀の一戦となる将棋の第71期王座戦五番勝負が8月31日に開幕する。今期のシリーズは、永世称号の「名誉王座」獲得を目指す永瀬拓矢王座(30)に若き絶対王者・藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が前人未踏の「八冠制覇」をかけて挑戦するという歴史的な五番勝負に。将棋大好き芸人のサバンナ・高橋茂雄は、この幕開けにワクワクが止まらない様子。藤井竜王・名人の挑戦を自身のお笑い界に例えると、「お笑い賞レース総ナメ&直木賞獲得、さらに始球式で160キロ出しちゃったみたいな!?」と大混乱していた。
両者が描く物語は、どんな結末が待っているのだろうか。将棋界を飛び出し、世紀のタイトル戦として大注目を集める王座戦五番勝負が幕を開ける。これまで“全冠制覇”は1996年に羽生善治九段が達成しているものの、新たなタイトルが創設され八冠となった今、未知の世界の“八冠制覇”に挑むのが若き絶対王者の藤井竜王・名人だ。
そんな最強挑戦者を待ち構える永瀬王座にとっても、今期は永世称号の「名誉王座」獲得がかかる絶対に譲れないシリーズとなる。この称号は、王座を連続5期もしくは通算10期以上保持した棋士に与えられるもので、獲得者は中原誠十六世名人と羽生善治九段の2人のみという偉業だ。芸能界屈指の将棋ファンで、将棋情報番組のMCや関連著書もあるサバンナの高橋に、その偉業を自身のお笑い界を例に聞いた。
高橋茂雄(以下、高橋) 「お笑いの賞レースともまた違うんですよね。僕らの世界は“好きな芸人ランキング”など、誰かわからない人が決めるものですよね。でも将棋は、すべて実力で見えているものが全てというか。僕らの世界で例えるのはおこがましいような偉業だと思います」
また、藤井竜王・名人が挑戦する“八冠制覇”についても「すごく難しい…」と大混乱しつつも、「僕らの世界でも、21歳でテレビ出てる人ってほとんどいないですよね。それがM-1を獲って、キングオブコントを獲って、R-1グランプリを獲って、すべらない話とIPPONグランプリで優勝して、余暇で書いた本が直木賞獲った上に、呼ばれたプロ野球の始球式で投げたボールが160キロ出しちゃった、みたいな。んでメジャーから急にスカウト来たみたいな、訳わからん状態なんじゃないかなと思うんですよね(笑)」と独特の表現で回答した。
1996年に全七冠を制覇した羽生九段だが、前年の第44期王将戦七番勝負で谷川王将(当時)に挑戦した際はフルセットの大激闘の末に3勝4敗で敗退。翌年、六冠を保持し再挑戦した同七番勝負で羽生六冠が4勝0敗のストレート勝利を飾り、史上初の七冠制覇を達成した。
高橋 「羽生先生と谷川先生による歴史的な物語があるので、同じことが起きるのかどうなるのか…。藤井竜王・名人が“全冠統一”という空前絶後、前人未踏、歴史に残る八冠制覇というタイトルを掛けて来られる上に、世間も『八冠を見たい』、という空気になると思うんですよね。その空気もろともとも戦う永瀬王座の姿に注目しています。永瀬王座の勉強量は“都市伝説的にスゴイ”と聞いていますので、一体藤井対策というものをどれくらい練っておられるのか、興味津々ですね」
簡単には語りつくすことのできないほどの歴史的シリーズを戦う永瀬王座と藤井竜王・名人。互いの力を尽くした結果、どんな結末が待っているのか。一戦一戦の、どの瞬間からも絶対に目が離せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)