9月10日に開催された横浜アリーナ大会から、K-1はプロデューサーにカルロス菊田氏を迎えた新体制となった。目玉企画は無差別級トーナメント。大会タイトルは『K-1 ReBIRTH』、つまり“再生”である。

 再生ということでいえば、2014年に新生K-1がスタートしている。中・軽量級中心の闘いから武尊というスターも輩出した。その意味では、今さら再生でもない。では主催者側が何を再生させたいのかといえば、それは“旧K-1”の魅力だ。

 1993年に始まった旧K-1。第1回大会から凄まじいインパクトを残したのは、世界中からヘビー級の強豪8人が集結したワンデー・トーナメント。一夜にして最強を決めるというコンセプト自体が秀逸であり、試合もKOの連続となった。

 9.10横浜アリーナ大会の狙いもそこだった。中・軽量級主体だった新生K-1に対し、ヘビー級の魅力も上乗せする。それが「ReBIRTH」ということだろう。また中・軽量級には魔裟斗の時代の中量級ブランド「K-1 WORLD MAX」の名称が使われることに。ヘビー級(無差別級)、MAXの2本柱を確立する。それがこれからのK-1のテーマになっていく。

 大きな目論見だから、すぐにうまくいくわけがない。9.10横浜アリーナ大会を見て感じたのは、やはりこれまで新生K-1が積み上げてきたものの大きさだ。「ReBIRTH」の新しさよりも、まずはそこだった。

 今大会唯一のタイトルマッチ、スーパー・バンタム級王座をかけた金子晃大玖村将史が見せたノンストップの打撃戦。女子王者の菅原美優からは試合運びの成長を感じた。

 新生K-1で見てきた選手たちのドラマ、ストーリーが今大会にもあった。一方の無差別級トーナメントは、8人中6人が初参戦。観客にとってなじみのない世界ということになってしまう。

 旧K-1の第1回トーナメントに参戦したピーター・アーツやモーリス・スミス、チャンプア・ゲッソンリット、佐竹雅昭は、すでに格闘技ファンによく知られた存在だった。だから大会のグレードの高さを最初から感じられた。今回は“未知の強豪”が多く、試合を見る上での軸がはっきりしていなかった。

 さらに言えば日本での大会で日本人がいない。「ReBIRTH」後のK-1は世界への映像セールスにも力を入れていくということだからそれでもいいのかもしれない。ただ旧K-1には佐竹や武蔵といった日本人選手がいて、彼らの活躍があったからこそ日本の観客は感情移入できた。クラウディオ・イストラテvsシナ・カリミアンの準決勝が反則減点も出る荒れた展開になったのも印象としてマイナスだ。

 そんな中で、中国のリュウ・ツァーがオールKOで優勝。“新星登場”という結末になったのはプラス材料だろう。この結果をどう転がし、大きくしていくか。新プロデューサーのカルロス菊田氏は、無差別級に関して「整理が必要」、「時間がかかる」と率直に語っている。

 大きな選手が殴り合えば面白い、というわけでもないのが格闘技。新生K-1が軽量級を活性化させたように、今度はヘビー級、無差別級の世界観を時間をかけて作っていく必要がある。

 ヘビー級さえ盛り上がればいいというわけではなく、中・軽量級があれば十分ということでもない。この両輪が噛み合った時に「ReBIRTH」は完成する。世界への配信とともにチケットセールスの強化も必要だろう。今は再生への第一歩を記したところ。

 新生K-1がスタートする時に打ち出されたのは「100年続くK-1」というスローガンだった。団体としても競技としても強固なものにすべく、新生K-1はアマチュア大会やオフィシャルジム制度にも力を入れてきた。一足飛びの再生ではなく、100年続ける中での「ReBIRTH」。大会ごとの成否を重ねながら、長期戦としても見ていく必要がある。逆に言えば、100年続ける意志を持つ限りK-1には可能性があると言っていい。

文/橋本宗洋

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