<大相撲九月場所>◇十日目◇19日◇東京・両国国技館
先場所七月場所で初土俵を踏んだ新米行司を見守るべく、取組開始前から向正面に正座をして土俵を見つめる人の姿があった。背中が真っすぐ伸び、独特な存在感を放っているが、驚いたことに座布団を自身の右隣にどかして正座をしている。そんな鋭くも温かい視線を土俵上に向ける先輩行司の自らにも厳しい姿勢に対して「座布団使ってください」「ストイック元基」「すっごい座り方綺麗」など、ファンから驚きや称賛の声が上がる一幕があった。
東京・両国国技館で行われている大相撲九月場所十日目。まだ客もまばらな館内の花道を元大関・琴欧洲の鳴戸親方ら審判を務める親方衆が入場してきた。5人の親方がそれぞれ所定の位置に腰を下ろすと、呼出しの安希隆(あきたか・安治川部屋所属の17歳)が最初の取組に臨む両力士を呼び込んだ。
すると向正面にポツリ、正座をする一人の男性の姿が。湊部屋所属のベテラン行司である木村元基(55歳)。その視線の先には、先場所七月場所に初土俵に立った新米行司で16歳の式守風之助が。
取組を中継したABEMAの視聴者が木村元基の存在に気づくとざわつき始めたが、さらに視聴者をさらに驚かせたのは、その姿勢の良さはもちろん、座布団をどかし、そのまま正座している様子。これには「座布団使ってください」「ストイック元基」など驚きの声が、「元基さんめっちゃ姿勢いいな」「すっごい座り方綺麗」といった声も聞かれた。
その後、式守風之助がこの日の取組を裁き終えると、木村元基はすくっと立ち上がり、座布団をもとの位置に戻してその場を後にした。厳しい上下関係の中で鍛錬を積む大相撲の行司。年齢と経験を重ねてもなお、後輩だけでなく自らにも厳しく、温かいベテラン行司の存在が印象的な一コマ。一方、先輩に見守られた式守風之助に対しては「所作が綺麗で落ち着いてる」「16歳とは思えない落ち着きっぷり」といった声が寄せられていた。(ABEMA『大相撲チャンネル』)