年内の解散総選挙を見送る方針を固め、先週、自民党幹部らに対し経済対策に集中する考えを伝えたという岸田総理大臣。
ここまでの道のりは“逆風”続きだった。最近では、自身を含む「特別職」の国家公務員の給与を引き上げる法案を巡り批判を受け、10月には1人4万円の減税などの方針を打ち出すも自民党内からも「何をしたいのか分からない」と異例の苦言を呈された。
さらには相次ぐ政務官・副大臣の辞任。神田財務副大臣を巡っては、自身が代表取締役を務める会社が税金を滞納し、13日に辞任した。
そんな苦しい政権運営の最中にいる岸田政権の解散タイミングと来年の政局について、東京工業大学の西田亮介准教授と考えた。
まず、年内解散が見送られたことについて、西田准教授は「内閣支持率も極めて低い状態が続いている。解散に打って出ると想定以上に自民党が負けるかもしれない。そのリスクを許容できなかったのではないか」と述べた。
続いて、5月の広島サミットの後、支持率が上昇したにもかかわらず「秋解散が本命」と見られていた要因については「欲が出たのではないか」との見方を示す。
「閣僚級会合は一年中開かれているが、春から秋にかけてはスケジュールがぽっかり空いていた。この間に解散・選挙があるのではと思われていた。広島サミットの後、自民党の支持率は上がっていたが、日本維新の会も統一地方選挙などで議席を伸ばすなど人気が高かった。そのため、岸田政権は『もう少し後の方がいいのでは』と判断。そしていざ秋になり、維新の支持率が下がったにもかかわらず解散できなかったのかもしれない」
相次ぐ政務官・副大臣の “辞任ドミノ”の影響については「影響はある。事前のスキャンダルの予想は難しく、岸田政権は相当追い込まれている」と述べた。
来年の解散のタイミングについて西田准教授は「最終的には岸田総理にしかわからない」としながらも「予算の審議の最中に解散に踏み切ると『来年度の予算の審議をほったらかして選挙にかまけているのか?』と批判されるため、通常国会後の時期が有力だ。ただし、夏の解散には、『9月の総裁選の前に負けたらどうするのか?』という懸念に加えて、“体力的な厳しさ”を理由に嫌がられる傾向がある」と分析した。
また、「総裁選の前に解散できない可能性」については「あり得る。とはいえ、対抗馬はあまりおらず、出てきても岸田政権からの引き継ぎは貧乏くじ。内閣支持率は低く、難しい運営を余儀なくされる。『誰もやりたくないから岸田総理続投』の可能性もある」と推測を口にした。
逆風が続く岸田総理の「求心力」と「今後」については「落ちている。そもそも岸田派は少数派閥であり、筆頭派閥の安倍派などの顔も立てなければいけない。そうした舵取りをしながら、自民党全体を勝たせることで党勢を回復し、尚且つ岸田政権を維持させる、そんな解を模索しているのだろうが、果たして見つかるのか」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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