谷川浩司十七世名人、期待する全国規模の将棋熱「47都道府県に最低1人は棋士を」/将棋・ABEMA地域対抗戦
【映像】地域対抗戦・8人の監督インタビュー

 天才棋士の大活躍によって、日本中で「将棋」が語られる機会がこの数年で飛躍的に増えた。谷川浩司十七世名人(61)も、藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)に破られるまで、最年少名人の記録を持ち続けるなど、昭和・平成・令和と将棋界の人気を支えてきた一人。今の盛り上がりには目を細めるばかりだ。過去には日本将棋連盟会長も務めた名棋士だが、年明けから始まる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」をきっかけに、「47都道府県に最低1人は棋士を」という夢が叶うことを願っている。

【映像】地域対抗戦・8人の監督インタビュー

 将棋を通して地域を活性化しようというのは、現会長・羽生善治九段(53)が就任直後に語った大きな目標。6月の就任から半年ほどで、今回の地域対抗戦にたどり着いた。会長として将棋界全体のことを見渡していた時期もある谷川十七世名人だけに「棋士は対局があるので東京・大阪近辺に住まいを構えることが多いですが、やはり出身というのは全国各地。ファンも地元の方が応援してくださるのがとても大きいので、こういう企画は本当にありがたいです」と歓迎している。

 谷川十七世名人は兵庫県出身。将棋の盛んな地域であり教室も将棋大会も多かった。将棋会館のある大阪府と隣県ということもあり、谷川少年にとっては恵まれた環境だった。プロの将棋界を見ると、かつてはやはり東京都の将棋会館を中心とした関東所属の棋士が優勢だったが「ここ15年くらいは奨励会の三段リーグからも、毎年4人のうち2人ぐらい関西から棋士になっている。非常に人数も増えまして、トップ棋士も互角に戦えるようになってきています」と、東高西低も昔の話といった勢いだ。

 以前は地域によって将棋の情報格差もあった。対戦相手も強い棋士になる前段階から、強い者が集まる場所、そうでない場所の違いも出ていた。ただ近年では将棋ソフト(AI)の活用やネット対戦で全国どこでも誰とでも指せる状況で、地域格差はどんどんと減っている。「どこにいても、奨励会の試験を受けられる位の実力を身につけられるようになったことは、とてもいいことです」と、各地で埋もれていた才能が見つかっていく状況は実に喜ばしい。

 今回、谷川十七世名人は、関西A(兵庫・京都・滋賀)の監督を任された。意識するチームとしては「近畿が2つに分かれましたが、関東も2つ。そちらの2チームも(出身の)棋士の人数が多いので、レベルも高いし、意識もします」とし、「また中部には1人スーパースターがいますので」と、愛知県出身の藤井竜王・名人が入る見込みの中部(静岡・愛知・岐阜・三重・山梨・長野・石川・富山・福井・新潟)にも注目した。本大会に向けて、地域を盛り上げるような企画が、開幕までにいろいろと行われることにもなっている。「地域のチームをファンの方が応援していただくことによって、活性化につながるといいですね」。2023年、谷川十七世名人の好きなプロ野球では、ファンである阪神が優勝、しかもオリックスとの「関西対決」となった日本シリーズが大いに盛り上がった。この熱を、今度は将棋に持ってくる。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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