【MLB】メッツ 3−10 ドジャース(5月29日・日本時間30日/ロサンゼルス)
スイングした瞬間を映さず、打球が舞ったところから映像を見たら、右打者が打ったのか左打者が打ったのかわからないかもしれない。ドジャース大谷翔平投手の放つ打球は、まさにそんな感じだ。8回2死二塁から放った41打席ぶりの14号2ランは、角度34度と高々と打ち上げた当たり。流し打ちではそこまで伸びるはずのない打球は、失速することなくレフトスタンドで弾み、現地実況も愕然とすることになった。
【映像】現地実況も「右打者が打ったよう」と驚いた大谷翔平、流し打ち弾
野球という競技において、打者は流し打ちよりも引っ張った方が距離は出る。ゴルフでも、スライスした「吹け球」には力がなく、高さは出ても飛距離が出ない。むしろフックする「引っ掛け」の方が、落下地点(キャリー)こそ出ないもののパワー自体はあるため、ラン(転がる)が出て結果的に飛距離は出るということもある。野球でもキャリア最高の飛距離をマークする本塁打は、ほとんどの選手がセンターから引っ張る方向に出ていることだろう。大谷も昨シーズン記録した493フィート(約150.3メートル)の最長弾はライトスタンドに消えている。
ところが専門家になるほど、大谷はセンターからレフト方向に入る本塁打を「大谷らしい」と表現する。引っ張った方が飛ぶのに、流した方が「らしい」とは――。つまりは、現地実況が流し打ちでの14号ホームランを見て驚いたことが全てだ。
現地実況 こんなに左打者が、まるで右打者が引っ張るように反対側にホームランを打つのを見るのは今までにないです。
先述のように大谷が放った14号は流し打ち。引っ張る打球より力がないはずだ。角度も34度と、理想とされる角度(26度から30度)から見れば、やや上がり過ぎだ。それでも大谷の打球はいつまで経っても上空から落ちてこない。結局380フィート(約115.8メートル)飛び、レフトスタンドに届いてしまうのでは、相手チームもお手上げだ。
分析はいろいろとある。絶妙にバットをボールのやや下に入れて、強烈なバックスピンをかけることで、失速しない打球を打っているという指摘もある。ただしそれも前方向に飛ばすパワーがしっかりあってこそ。それがなければ上空には上がるかもしれないが平凡な外野フライ、さらにいえば外野まで届かず内野のグラブに収まっているかもしれない。つまり並の打者であれば凡フライなところ、大谷がホームランにしてしまうあたりが“らしい”わけだ。
左打者の凡フライも、右打者の高々と打ち上げた本塁打も見慣れているだろう現地の実況者だけに、スライス気味に飛び出した流し打ちで、大谷のようにフェンスを越えてしまうものは見たことがない。そんな思いから飛び出したコメントだった。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)
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