■「彼の戸惑った顔、苦しそうな顔しか思い浮かばない」

 小学生時代にいじめ加害をしていた夏目浩次さん(47)。小学校2年生当時、クラスにいた知的障害の男児に対し、帰り道に犬のフンを踏ませたり、みんなのランドセルを背負わせたり、荷物を隠したりしていたという。

【写真・画像】「彼の苦しそうな顔しか思い浮かばない」 いじめをしていた側の“後悔”  副島淳「“そんなことしてたっけ?”と言われ絶句」、柴田阿弥「嫌なことをしてきた相手のフルネームは今でも言える」 3枚目
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「彼は授業中じっとしていられなかったり、給食をぼろぼろこぼしていて、先生が『駄目な子だ』『できない子だ』とすごく叱っていた。先生を批判したいわけでも、正当化したいわけでもないが、それを見て“僕たちもこういう扱いをしてもいいんだ”という空気が醸成されていった」

 当時のいじめに対して思うのは、「とてもひどいことをした」という猛烈な後悔。大学生でバリアフリーを学んで障害者が社会で生きる困難さを理解したこと、親になって被害者の親の心配や苦労を想像できるようになったことなどがあるという。

「当時は、障害を持った彼が地域の学校に来るのは相当難しいことだったと思う。彼が何かしてしまった時、先生が親を呼んで、お母さんが頭を下げながら彼を連れて帰る姿を、今でも鮮明に覚えている。きれいごとを言うつもりは全くないが、思い返すと震えてくるというか、気持ち悪くなる。彼の戸惑った顔、苦しそうな顔しか思い浮かばない」

 夏目さんは2014年、「久遠チョコレート」の事業をスタート。北海道から北九州まで全国40店舗を展開し、従業員の6割以上に障害者を雇用している。高単価で生産性の高いチョコレートを作ることで、障害者にも高賃金を保障している。

「きれいなストーリーではなく、いろいろな原動力はあるが、増幅されていった後悔が大きいのは間違いない。“障害者雇用を”“人権を”“平等な社会を”など小難しいことを考えているわけでもなく、単純な社会。人はいろいろいていいじゃないか、できること・できないことがあっていいじゃないかという許容力、包容力がある経済や社会にしたい。“人が人を傷つけていいわけないんだ”というシンプルな原点に立ち返って、いろんな世代のいろんな人たちが強いメッセージを伝えていくべきだと思う」

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