■子どもの権利擁護センター「CAC」、米は950箇所以上に対し日本は2箇所 必要な環境整備は
子どもが被害を打ち明けづらい現状を改善しようと生まれたのが、子どもの権利擁護センター(通称CAC)。神奈川県立こども支援センターには、CACが認定した専門の面接官が、警察や児童相談所に代わって聞き取りを行う「面接室」が設けられている。その様子は、各機関の担当者がモニタリングしながら、必要な情報を共有。最小限の相手のみが向き合うことで、子どもの不安を和らげられる。しかし、施設はアメリカが950以上あるのに対して、日本では神奈川のわずか2つだけだ。
また、アメリカでは「系統的全身診察」と呼ばれる手法がとられている。身体のパーツごとに危害歴を聞き取り、性器・肛門も含め全身を診察し、メンタルケアも行う。こうした診察を行うことで、面接で得られなかった情報を汲み取ることにつながる。
子どもの性被害などの課題解決に取り組む「ふらいと先生」こと、小児科医の今西洋介氏は「性加害は身体的虐待と同時に行われることが多い。全身を見ることで、『違う虐待を見つけてくれた』と開示率の上昇につながる。アメリカでは系統系診察が、DNA鑑定と代わるほどになっている」「日本では子ども本人が法廷で『この人から被害を受けた』と発言しないと起訴できない。アメリカでは診察結果や、弁護士が聞く司法面接のデータで起訴できる」と説明する。
一方、塚原さんは「医師を信用できない保護者も増えている。学校の検診で苦情があったというニュースもある」と指摘。「そもそも虐待している親は、まず病院に連れて行かない。私も顔を殴られ、右耳の鼓膜が破れて今も難聴だが、病院へ連れて行かない」とも述べた。
そんな中、作成したのが「ヘルプカード」だ。小さな子どもでも読めるようにひらがなで書かれている。「自分の身に起きた時、信頼できる大人に差し出せば助けてもらえる』というカードを持たせたかった。子ども自身が『性被害に遭っている』と自覚を持てることが一番大事。そのためには早いうちからの性教育が大事で、3歳でも遅いくらいだと思う」と訴えた。
今西氏は「子どもの声を聞こうという意見が、少しずつ上がっている。国内の小児科医にも、アメリカの学会から“子どもの声”を勉強する動きがある。『子どもが言うことだから』とバカにするのではなく、大人同士が連携して子どもを守る社会にしないといけない」とした。 (『ABEMA Prime』より)
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