たとえ映画本編を見たことがなくとも、このセリフだけは知っていることだろう。「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」がアニメ史に残る伝説の名ゼリフだということに異論を唱える者はいないはずだ。
【映像】銭形警部が渋く決めまくった名シーン(1:37:20ごろ~)
アニメ「ルパン三世」シリーズは、神出鬼没の大泥棒ルパン三世とその仲間たちの活躍を描いたモンキー・パンチ氏による漫画が原作。1979年に公開された劇場版第2弾「ルパン三世 カリオストロの城」は、ゴート札と呼ばれる偽札の秘密を探るため、カリオストロ公国へやってきたルパン(CV:山田康雄)が繰り広げる冒険活劇だ。同映画は宮崎駿氏の映画初監督作としても知られ、シリーズ屈指の人気を誇っている。
ヒロインのクラリス(CV:島本須美)は、カリオストロ公国の公女だ。名実ともに国の支配者になろうとするカリオストロ伯爵(CV:石田太郎)に結婚を迫られ、逃げ出したところをルパンに助けられた。
ゴート札とカリオストロ公国の繋がりとは?隠された財宝とは?それぞれの目論見と謎が渦巻く末に、ついにルパンと伯爵との勝負に決着がついた。戦いが終わり、クラリスは、「私も連れて行って!泥棒はまだできないけど、きっと覚えます」とルパンに頼んだ。ルパンは葛藤しつつも彼女の申し出を断り、「お前さんの人生はこれから始まるんだぜ。俺のように薄汚れちゃいけないんだよ」と微笑みかけた。
ルパンが去った後、銭形警部(CV:納谷悟朗)が「くっそぉ、一足遅かったか!ルパンめ、まんまと盗みおって」と駆けつけた。「いいえ、あの方は何も盗らなかったわ。私のために戦ってくださったんです」と言うクラリスに対して、銭形は、「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」と返した。その言葉を聞いて、クラリスは、「はい!」と嬉しげに頷いた。
……劇場公開から45年経った今見ても、全く色褪せない粋なラストシーンだ。こんな洒落たセリフ、ルパンや銭形のようには言えないとわかっていても、つい憧れて真似したくなる力がある。きっとこの先も時代時代のアニメファンによって、「ルパン三世 カリオストロの城」の魅力は語り継がれていくのだろう。
原作:モンキー・パンチ(C)TMS