世界大会も開かれるなど、海外のサーファーからも愛される宮崎市の木崎浜。
先日の地震では震度5強を記録したが、外国人観光客への情報提供に課題は十分なものだったのか? 現地を取材した。
12日、海を背に歩くと色褪せ、英語の部分が上からの貼り紙で隠れてしまっている看板が目についた。
次に、「津波避難所720メートル先」と日本語と英語と記された看板に沿って実際に歩いてみると少し距離がある中、途中に案内表示が少なく、少し不安になった。
海外旅行中、土地勘がない場所での災害リスク。情報は届いているのだろうか?
「今地震が来たら、どこに逃げますか?」という問いにある外国人観光客は「標識を見て津波の避難場所をチェックする」と回答したが、看板の存在を知らない方も…
「もう少し詳細な情報があれば良い。旅行者向けに英語に訳された情報がもっとあれば、本当に津波が来た時にどうすべきかがわかる」(外国人観光客)
地震に慣れていない外国人に、いざという時の対応を伝える必要がある。宮崎市には21の言語に対応する災害時多言語コールセンターがあるが、今回、問い合わせは0件だった。ホームページやLINEなどで発信しているものの、足りていない現状があると課題を挙げている。
宮崎県はインスタグラムやフェイスブックで情報を発信しており、今回の教訓を次に生かすと述べた。
「SNSでの発信だけでなく、実際に外国人観光客が宮崎に来た時に、ホテルや宿泊施設、観光施設でどのように情報提供され、対応されたのかを確認し、県内の関係者と共有する。そこで必要なことを検証していきたい」(宮崎県観光推進課 野田忍課長補佐)
災害時における外国人観光客への情報提供についてJX通信社 代表取締役の米重克洋氏は「災害時は自治体のマンパワーが不足するため、情報を早く正確に伝え、自分で避難してもらうことは非常に重要だ。これにより、二次災害の防止にもなる」と強調した。
では、外国人観光客に対し、どのように伝えるべきなのか?
今回の取材において英語でも表記された津波注意の看板を目にしたが、令和4年宮崎市観光統計によると最も多い外国人宿泊客は韓国であり(23.7%、アメリカ9.6%)、英語以外の呼びかけも考慮すべきだろう。
米重氏はこれに同意しつつ「オンライン・オフライン両方での呼びかけが必要だが、日本人が海外に行った際のことを考えても、政府や観光関係のアプリ、さらにはSNSプラットフォームなど、ありとあらゆる場所で徹底的に外国人観光客に対してオンラインで情報を出していくことが重要になるだろう」と述べた。
さらにJX通信社によるFASTALERTというAIを使ったサービスを引き合いに出しながら観光地における情報収集について説明した。
「被害を未然に防いだり、リスクを回避するにはリアルタイムで情報を得る必要があるが、海外の観光地にいる日本人が日本語で最新情報を得ることが困難なように、日本にいる外国人観光客には難しい現状がある。FASTALERTはSNS・ウェブなどから、災害・事故・事件に関係する情報を集め、現地のニュース速報と同じくらいのタイミングで自分の国の言語で受け取れる。企業向けのサービスであるため、出張時における取引先やサプライヤーとの事業継続が可能かどうかなどもいち早く判断できる」
加えて米重氏は災害に対処するためのインフラ整備について「国が旗振り役になってインバウンドを呼び込んでいる中、インフラ整備は自治体任せというのはおかしい。補助金を出したり、インフラの点検をサポートするなども必要だろう」と指摘した。
最後に米重氏は災害時における情報提供・取得において、「来てもらう側がリスクをしっかりと認識することが重要だ」と強調した。
「来てもらう側も来る側の気持ちに沿って、どうすれば最適な情報提供ができ、自分で自分の身を守る『自助』が可能になるかを考えるべきだ。そのことが結果的に我々自身の安全にも繋がってくる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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