■シェアハウスを運営する株式会社「HABING」
シェアハウスを運営する株式会社「HABING」は、介護サービス業を展開している。社員ヘルパーによるシフト制の訪問、時間帯や障害の程度に合わせてヘルパーを募集し、ヘルパーと入居者をマッチングさせている。また、ヘルパーの平均年収は常勤が約378万円、非常勤が約263万円に対し、「HABING」は全社員3年目で年収440万円を超えているという。
熊谷氏は、シェアハウスを作ろうと思った経緯について「私自身が十数年間、ヘルパーとして、現場で働いていた。居宅介護と言って、一人ひとりのお客様の家に伺って、1日1、2時間サービスを提供する。利用者さんはサービスを受けるが、家族の方はその時間休憩になっていない。そう考えた時、24時間体制でケアできるシステムを作らなくてはならない。できればグループホームを望んだが、親亡き後を考えたら、既存のグループホームのシステムではなかなか法整備が追いついていない」と答えた。
さらに、「今、障害のある方のグループホームは4種類ある。日中支援型やシェアハウスに近いような形、いろいろある。それぞれに、例えば夜間しか見てはいけないとか、日中見られるけど軽度の障害だけ、など制限がある。シェアハウスになることで、その制限を全て取り払うことができる。難しい問題ではあるが、そこにチャレンジした」と続けた。
作る上でのハードルが高かったことは「資金集めだ。小さな企業が、世田谷のど真ん中に、ゼロから土地を見つけて、そこにデザインをして作るような形になるので、資金集めは苦労した」と明かす。
シェアハウスの利用料は家賃9万円からで、食費や光熱費は別。熊谷氏は「一人ひとりの利用者さんの権利に応じて生活することが可能。一人暮らしの人が集まっているイメージだ」。家族の持ち出しについては「ほとんどの方が障害者年金、東京都にお住まいの方は各種手当を受け取っている。その中で一生涯、全て賄うことが可能だ。なので、親亡き後の生活を考えた時にも、親御さんが介護できない状態になっても、ご自身の権利で一生住むことが可能になる」と話す。
シェアハウスの報酬については「障害福祉サービスは、利用者さん一人に対して、1時間いくらという形で国から報酬が出る。必要ではない時間数は出ないが、1カ月を単純に考えると、24時間×30日で720時間。そこに全てヘルパーを派遣する形になる。なので行政にもお話をして、必要な方に対して、必要な時間数をいただく。その中で、全て派遣を行っていく形になる」と説明した。
■シェアハウスで暮らし始めた、重度の障害があるタカシさん(仮名)31歳

