世界最高峰のラリーでランキング首位の王者最右翼ドライバーに対し、今季最後のグラベル(未舗装路)戦でタイトル挑戦に名乗りを挙げたのは、同僚の元チャンピオンだった。
「ラリー・チリ」を終えれば、あと2戦を残すのみとなる2024年のWRC(世界ラリー選手権)。ドライバーズランキング暫定トップのヌービルは、2位以下にポイント差をつけていることもあり、初日から最終日まで、安定の走りを展開していた。
日本時間9月30日の最終ステージSS16は、雨の影響で、視界不良に加えて路面コンディションもかなり悪かったが、ランキング2位で2019年王者のオィット・タナック(ヒョンデ)は、その状況下でも攻めまくる。気がつけばフロントバンパーをどこかにブツけて破損しているが、お構いなしの激走を続けた。
解説のピエール北川氏が「獲物を見つけた時の動物」と評する攻めの走りでフィニッシュラインを通過すると、なんとヌービルより約1秒早いタイムを叩き出した。年齢も優勝回数もさほど変わらない2人は、開幕前から「ダブルエース」としてやってきたが、ここにきて元チャンピオンのタナックが本領を発揮してきたようだ。
本人はインタビューでも「すこし失敗したところもあったが、無難に終えられた」と冷静にコメント。クールな面持ちで激しい走り。常に感情を昂らせないタナックだが、チャンピオン獲得へ内面は燃えているようだ。
タナックはヌービルを上回る総合4位でフィニッシュ。178ポイントでランキング2位につけ、207点の首位ヌービルを追う。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)