裏金議員の公認問題や早期解散への反発など、けっしてスムーズとは言えない門出となったが国民は期待を寄せてもいいのだろうか? ノンフィクションライターの石戸諭氏に聞いた。
40%〜50%というけっして高くない世論調査における石破政権の支持率について、石戸氏は「裏金議員に対する処分など、“岸田内閣では踏み込めなかった領域”に対して国民は期待していたが現実は極めて中途半端になっている。その結果が早速、支持率に跳ね返っているようだ」と指摘。
さらに「“疑似政権交代”が起きている」と述べた。
「少なくとも議員レベルのデータで見ると、安倍内閣時代は総じて自民党の右傾化が進んだ。保守色が強くなったのは、安倍元総理がトップにいたからこそであり、この長い政権時代に次第に右派色が強まった。野党、特に立憲民主党は左派・リベラル層に寄ることで対抗しようしたため、結果的に中道部分がぽっかりと空いてしまい、そこに改革を標榜する日本維新の会などが勢力を伸ばしてきた。そして今回、自民党も立憲民主党も中道寄りに戻そうとしたことが最大のポイントだった。石破氏は保守色が強かった安倍政権から見ると中道寄りの人物で、党内ではリベラル色が強い主張をしていた。つまり“疑似政権交代”が起きたと言える」
そして閣僚の顔ぶれについては「安部カラーはないのがわかりやすい特徴」と指摘。
「岸田政権の党内ではリベラル色が強かった。前政権を踏襲し、林官房長官を変えないという選択をしたことで“疑似政権交代”による混乱を少なくしたいのだろう。また、石破氏の側近や近かった人たちが入閣している点や、村上誠一郎氏のような安倍元総理を『国賊』とまで言った反主流派の人物を登用することで、安倍カラーがない内閣になっている。少なくとも、岸田氏のやってきたことをある程度踏襲しながら、自分の色を出していこうというのが今の流れではないか」
そして、「早期解散」については「悪手」と強調した。
「国民も野党議員も石破氏が丁寧な議論をすることを期待していたにもかかわらず、すぐさま方向転換した印象を強く与えてしまった。これは与党からすれば、野党に攻撃の隙を与えてしまう悪手であり、国民の期待も裏切ってしまう手だ」
石破総理はポストに就いたことで「変わったしまった」のだろうか?
石戸氏は「かつての“民主党政権と似たパターン”を歩むのではと危惧している。これまでの自民党とは違うという期待を振りまいたが、高すぎる期待はすぐに失望へと反転する。個人的に石破政権には“退屈な政治”を期待していた。これは、石破氏と野田氏の間で大きな思想的、イデオロギー的な対立がないからこそ、もっと実直な政治、細かい改革や法的な争点を丁寧に語り合う政権、という意味だ。だが、どうもそうはならなさそうという可能性が先に高まってきた」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側
本記事は自動文字起こしツールや生成AIを利用していますが、編集部の確認を経て公開しています。