元徳島県警捜査一課警部の秋山博康氏は「警察は被害者の代理人。警察は遺族の仇を取らねばならない」語るが、その信念が生まれたのは新米刑事時代、被害者に投げかけたある失言からだった。
それは秋山氏が徳島県警刑事3年目、25歳のころの出来事。幼いころから憧れた刑事になり捜査のいろはを覚え、強盗や殺人など凶悪な事件を経験。当時の自身について、秋山氏は「天狗になっていた」と告白した。
そんなある日、1人の女性が「財布がないんです」と、車上荒らしの被害を届け出に来た。子どもを幼稚園に迎えに行った隙の一瞬の犯行だったという。
秋山氏が「そのとき車の鍵は?」と問いかけると、女性は首を横に振って否定。そのとき、秋山氏は何気なく「奥さん、それはダメですね。気ぃつけんと」と発言。すると女性は号泣して「もういいです」と、被害届を破って泣きながら帰ってしまったという。
一体なにが起きたのかわからなかったが、やりとりを見ていた上司の刑事課長は「お前ちょっと来い!」と呼びつけると「被害者に『それはダメですね』だと?お前何言ってるんだ。刑事はな、被害者の代理人だろ」と秋山氏を叱責したという。
秋山氏は10歳のころ、自宅で泥棒被害にあった経験がある。おびえる秋山少年に、家に来た刑事は「坊ちゃん安心せい、おじちゃんが絶対犯人捕まえたるからな」と声を掛けてくれたそうで、その言葉で刑事になることを決めたという。
改心してすぐさま現場に向かい捜査を開始。当時徳島県内では100件以上連続で窃盗事件が発生しており、秋山氏は同一犯とみて聞き込み、さらには張り込みを続けた。その結果、犯人を現行犯逮捕。取り調べたところ、女性の車から財布を盗んでいたこともわかった。
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