■資格取得で1000万円を超える一時金も
やる気を引き出すために、適材適所の他にも「成長」を重視した制度に注目が集まっている。KADOKAWAは明確に成長した「結果」を出した社員には、一時金などを出す。たとえばアメリカの公認会計士資格を取得したケースでは300万円が出た。海外MBAや税理士を取得すれば、1000万円以上の一時金が出ることもあるという。
そして、KADOKAWAではTOEICで800点以上を取った社員は海外出張時にビジネスクラスの利用ができる。状況によっては部下がビジネスクラスで上司はエコノミーくらすということもあり得る。「いろいろ考えた末に英語クラスとか用意しても、社員の英語力は上達しなかった。それなら英検1級を取ったら100万円あげるとか、TOEFL iBTで95 点取ったらとか、結果を出したらそれに対して会社が補償するという制度に改めた。やる気がなければ何も成し遂げられない。特に語学なんか、やる気がないのに会社から言われてもやらない」。
社会全体で環境整備が進む育休についても手厚い「休職フォロー制度」の導入を準備中だ。「編集者は女性社員の比率がすごく高い。そうなると子育てで休職、育休が取りにくい。だから育休を取った人が出たら、その課の周りの人に月2万円ずつ出す。それで育休が取りやすくなる。補充(人員)が入ったら出さないが、抜けている間は出す」と、育休によって業務負担が増える同僚に、それをフォローするだけの対価が得られる仕組みを、社員との交流の中から作り出した。
社員と仕事のマッチング、給与や一時金といった待遇を改善してきたKADOKAWAだが、近年特に厳しくなってきた労働時間については、頭を悩ませることも多いという。夏野氏は「うちみたいな規模の会社になると、労働時間は本当に厳しい。労基署が見ているから。今うちの平均残業時間はだいたい27時間ぐらいに限定されている。若い社員から言われるのは、もっと働きたいんだということ。もうこれ以上、今月は働いちゃダメと言われることが毎月ある。時間もあるのになぜ働かせてくれないのかと」と、やる気ある若手社員の切実な思いも紹介していた。
(『ABEMA Prime』より)
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