■警察の初動捜査は適切だった?

【写真・画像】「思っているより大きい」八田容疑者の等身大パネルを作成 元刑事が見た目以外にも「声」に注目してほしいと訴え 6枚目
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 事件発生から1年が経った頃、大分県警は八田容疑者が事件直後に逃走する防犯カメラの映像と、市内のヨットハーバーで八田容疑者が脱ぎ捨てたとみられるTシャツや車内に残されていたリュックやスニーカーなどの遺留品を公開した。

 また、同時期に八田容疑者の車両と被害にあった大学生のバイク2台も公開された。車のフロント部分とバイクの後方部分が大破しており、100キロ近いスピードとノーブレーキで衝突したとされるその衝撃が伝えられた。

 交通事調査故鑑定人で元宮城県警の佐々木尋貴氏は「車やオートバイの壊れ方を見るとかなりの高速度で追突したというのは間違いなくわかる。加速してアクセルをふかしながらぶつかったと思われる」と推察した。

「捜査の仕方は間違いではないんでしょうけど、ただ油断はしていると思う。多くの交通事故捜査は、その車を探し当てるためにものすごい努力をする。今回の場合、車もあるし、人も特定されていた。いずれ出てくるというところがある。そこが現場を処理していた人間から言えば油断だ」(佐々木尋貴氏)

 もう一つの疑問は、八田容疑者がヨットハーバーで脱ぎ捨てたとみられるTシャツだ。警察はTシャツの公開を遅らせた理由に「誤った憶測」が広まるといけないからと説明している。誤った憶測とは、海に飛び込んだことを指している。事実、別府では、八田は海に飛び込んで死んだという声が蔓延し、また八田容疑者の祖父も取材でそう語っていた。

 元徳島県警警部の秋山氏は捜査歴42年の経験から「八田容疑者は今も生きている」と断言する。「間違いなく、ここ(ヨットハーバー付近)で飛び込んだら周辺で腐敗して発見される」。

 遺族は警察の初動捜査に関する情報開示を求めたが、すべて黒塗りにされていた。父親は「初動捜査が間違っていたのではないかと。最初から一生懸命やっていただければ、もっと早く八田容疑者を逮捕できたのではないか…」と語った。

■遺族らが殺人罪への切り替えを求める
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