【写真・画像】5倍の速さで老化が進む「コケイン症候群」を抱える男の子 余命1年…家族の決断は 「わが子は誉れ」懸命に生きた16年の記録 1枚目
【映像】誉君が「余命1年」と宣告され涙する母・富美さん
この記事の写真をみる(13枚)

誉君と家族

【映像】誉君が「余命1年」と宣告され涙する母・富美さん

 通常の4~5倍の速さで老化する「コケイン症候群」を抱える男の子、須知誉(すち ほまれ)君。平均寿命は15歳から20歳、発症は50万人に1人と言われ、希少難病ゆえ治療法の研究は進んでいない。

 体力や視力など様々なものを失っていく中、唯一の希望は「“思い出”は生きる力になる」という医師からの言葉だった。楽しい思い出を作ろうと旅行の計画を立てる家族たち。深い愛情に包まれた誉君の16年間の人生とその家族を追った。

■希少難病「コケイン症候群」を抱える男の子

 うれしいはずの子どもの誕生日。しかし、年を重ねるたびに不安になる母親がいた。「また誕生日が来ちゃったとか。こんなことができていたのに、これはもうできなくなっちゃったんだなっていう…」(誉君の母・富美さん)

 宮城県仙台市に暮らす、希少難病「コケイン症候群」を抱える誉君。会社員の父・充(みつる)さんと専業主婦の母・富美(ふみ)さん、次男の蒼心(そうし)君、三男の柚稀(ゆずき)君の5人家族だ。

【写真・画像】5倍の速さで老化が進む「コケイン症候群」を抱える男の子 余命1年…家族の決断は 「わが子は誉れ」懸命に生きた16年の記録 2枚目
拡大する

誉君(当時6歳)

 誉君に出会ったのは10年前の小学校入学を迎えた年だった。この時の体重は、9.1キロ。6歳にして、1歳の体重にも満たない重さで、耳には補聴器をつけていた。

 2007年6月に誕生した誉君。名前を決めたのは富美さんだった。「みんなに誉められるような人になってほしい」との願いを込めて名付けたという。「コケイン症候群」が判明したのは4歳の時だった。

【写真・画像】5倍の速さで老化が進む「コケイン症候群」を抱える男の子 余命1年…家族の決断は 「わが子は誉れ」懸命に生きた16年の記録 3枚目
拡大する

母・富美さん

「1歳過ぎた辺りで、みんなつかまり立ちして歩くぐらいの時に、(誉は)おぼつかなかった。インターネットで調べた時に『コケイン症候群』がヒットした。何個か当てはまる所があったけど、『違う、違う』と言い聞かせた。でも(病院で)『コケイン症候群です』と言われた時は、調べていたことがぶわーっと頭によみがえってきて…」(富美さん)

【写真・画像】5倍の速さで老化が進む「コケイン症候群」を抱える男の子 余命1年…家族の決断は 「わが子は誉れ」懸命に生きた16年の記録 4枚目
拡大する

父・充さん

「うちの場合は、病気が分かってゴールが分かってということなので、その(命の)短さにあまり意味を強く感じたことはない。逆にそこまで何をするか、何をしていくかということに意味があると思います」(充さん)

 コケイン症候群は、4倍から5倍の速さで老化が進むと言われ、歩行障害、視力障害、腎不全などの症状が現れる。現状、研究は進んでおらず、根本的な治療法は見つかっていない。発症は50万人に1人で、平均寿命は15歳から20歳と言われている。

「(年齢)2桁がボーダーライン…。2桁になった辺りからガクッと機能(低下)というか、いろいろ出てきたりするというのを聞いていて、10歳を超えると気にしていかないといけない」(富美さん)

■病の進行、家族と過ごす大切な時間
この記事の写真をみる(13枚)