黒澤明監督『赤ひげ』で使用した薬研に感慨「博物館で芝居してる感じ」

――今回は同じ時代劇でも町医者という役柄でしたが、意識した所作や仕草などはありましたか?
松坂 :今まで時代劇を何本かやらせていただきましたけど、町医者は初めてでした。その時代の日常にとても近い人物の役だったので、最初お話いただいた時は嬉しかったです。基本的には腰に刀を差して歩かないので、これまでとは違いました。診察の所作なんて、専門家の方でもわからない。「当時はこうだったはず」って、ちょっとずつみんなで知恵を振り絞って、想像力を働かせて作り上げました。
――セットもとてもリアルでした。
松坂 :実際に当時のものを使っていたり、本来だったら博物館に絶対あるような小道具ばかりがそこらに置いてありました。博物館側で芝居してる感じなんです。薬草を潰して粉にする薬研(やげん)も、黒澤明監督が、『赤ひげ』で使ってたものを、黒澤家から借りてきたそうで。売ったらすごい値段になりそうなものが平気で置いてある環境が…ちょっとすごかったです(笑)。

――千穂に関してはいかがでしたか?
芳根:この時代特有の品の良さや美しさはベースとしてありながらも、千穂は「男の助」って呼ばれる存在でもあるので、普段よりも“ちゃきちゃき”というか、どこか豪快さがあったり。そういう方が、魅力的な女性になるのかなと思い演じました。「こうでなきゃ」って思いすぎずに、自然に現場にいれました。
――現場では赤ちゃんや子役と接する機会も多かったと思いますが、雰囲気はどんな感じでしたか?
松坂 :フィルムということもあって、赤ちゃんが泣くか泣かないかのドキドキ感はありました。「大丈夫か」って見てるところもあったんですけど、実際、本番カメラが回ると、喋ってる人の方をちゃんと向いて聞くんです。本当にすごい。助けられました。
芳根 :本番前まで「(本番では」赤ちゃんは多分ここにいます」と言われていて。
松坂:タオルみたいなのに丸まって(笑)。でも、赤ちゃんたちも1発でできて。本当にスーパーベイビーがたくさんいました。
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