■貯金を切り崩し取材「お金にならないから、でやめるわけにはいかない」

 屋久島ポストの主な報道は、町長が普通運賃で航空券を購入後、高齢者割引に変更して差額を着服していた出張費不正問題。町長は当初否定も、のちに謝罪した。また、現職町議による廃材不法焼却事件では、のちに罰金50万円の略式命令が出され、辞職勧告決議案も可決された(辞職はせず)。

屋久島をめぐる報道の状況(武田剛氏、左列下段)
拡大する

 屋久島ポストの収支は、収入が寄付等で1万円前後。支出は、1枚当たり10円の情報開示請求やガソリン代などで、不足する場合は記者が持ち出しで補う。武田氏は「このメディアを始めたことでマスコミの取材はできなくなっているので、貯金を切り崩すかたちで取材を続けているのが現状だ」と述べる。

 また、活動は使命感による部分が大きいという。「お金にならないから、でやめるわけにはいかない。目の前に問題があり、今やめれば全て元に戻ってしまう。屋久島は、これまでマスコミにしっかり取材されたことがない島だ。そんな自治体がたった1つの小さなメディアにでも監視されたらどうなるか。なんとか続けていくことによって、町が少しでも変わっていけばと思っている」とした。

 一方で、向けられる批判もあり、具体的には「住民側に立ちすぎ。中立・公平とは言えない」「島の中のことを荒立てないでほしい」といったものだ。

 武田氏は「町長や町役場を相手にしている取材なので、応援していることがバレると町役場から白い目で見られてしまう。そうすると、例えば公共事業をもらえなくなる可能性もある。ただ、陰では応援してくださる方も多く、そこは難しいところだ」と苦悩を明かした。

 1記事当たりのページビューはあまり多くないものの、そこだけを重視していないという。「多くの人にというよりは、議会や町の関係者、それから一部の住民の方に読んでもらえればと。自分の役場でこういうことが起きているんだと若い職員に知ってもらえれば、お金の使い方もかなり変わってくると思っている。(ビュー数が)多ければいいとは思っていない」とした。

■「各国でも儲けてない」ものの、メリットも? 持続可能性は
EXIT兼近大樹「テレビは政治を報じないほうがいい」

■Pick Up
キー局全落ち!“下剋上”西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
現役女子高生の「リアルすぎる日常」をのぞき見

この記事の写真をみる(3枚)