■「パンダ外交」の狙いとは?
日本、そして中国で多くの人から愛されるパンダだが、実は世界のいたるところにパンダが存在する。アメリカ・ワシントンにある国立動物園、韓国、中東・カタール、そしてドイツ、フランスなど、今や19の国と地域に貸し出され、世界中の人々を魅了している。
パンダ外交について吉岡氏は「世界でパンダが認識されて、大ブームになったのは19世紀で、ゾウやライオンに比べるとそれほど古い話ではない。その後、日中戦争のときに中華民国政府(当時)が、日本との戦争を勝ち抜き、アメリカの庶民の共感を得るためにパンダをニューヨークに贈呈した。これがパンダ外交の起点と言われている。(第2次世界大戦後に)中華人民共和国はパンダを『国宝』と位置付けて、外交として使い始めた」と話した。
「東西冷戦のなかで、パンダをソ連や北朝鮮に贈ってきた。それが西側に変わるポイントになったのもアメリカだった。1972年に国交正常化に向けてアメリカが動き出したときに、パンダが西側に行くきっかけになった。そして現在にいたるまで、80年近く外交の役割をパンダが担ってきた」と続けた。
パンダ外交の狙いについては「中国外交に従ってパンダ外交を行っているが、習近平政権が2013年に発足してから、海のシルクロード・陸のシルクロードに沿った国にたくさん贈り始めた。アメリカの存在が大きく、アメリカと対立するなかで、西側・ヨーロッパや南側・カタール、東南アジアとの外交を強化するときに、ソフトなイメージを売り込みたかった。“パンダの笑顔”を中国の旗印にしたいという思いから贈られている」と解説した。
■中国以外で世界一の繁殖実績を誇る和歌山の動物園


