■中国以外で世界一の繁殖実績を誇る和歌山の動物園

【写真・画像】中国で空前のパンダブーム?“パンダ外交”の意外な歴史とは?記者が解説「年間のレンタル料は約1億5000万円」 6枚目
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 和歌山県にある「白浜アドベンチャーワールド」で生まれたパンダは17頭と中国以外では世界一を誇る。1994年から日中共同で繁殖研究を行っており、30周年の節目を迎えた。

 白浜アドベンチャーワールドで繁殖に大きく貢献したのは、初めてやってきたパンダ「永明(えいめい)」「梅梅(めいめい)」の2頭の存在が大きかったという。

 中尾建子副園長は「動物のことなのでコントロールできないことがある。永明・梅梅が遺伝的に繁殖能力の高い子孫であることも一つあるかもしれない。(パンダが)本来もっている能力が大きいと思う。あとは私たちの努力もある。日本のさまざまな技術を交流して、より良い飼育管理に努めている」と語る。

 こうした努力もあり、パンダの個体数は増加した。2016年に絶滅危惧種から解除され、その次の危急種に引き下げられた。しかし未だ野生パンダの生育環境は不安定で、今後もパンダを守るための研究は続くという。

「パンダを通じてパンダの繁殖研究だけじゃなく、そこから広がるいろいろな輪を構築してきた。中国の飼育係の方と私たち、パンダとお客様、パンダと社会とか、いろいろな形でつながりをもってきた。それをすることによって、ただパンダが可愛いだけじゃなくて、パンダが置かれている状況を伝えないといけない」(中尾副園長)

 どうして日本の和歌山でパンダの繁殖がこんなにも成功したのか。吉岡氏は「やはり永明がヒーローで、強いお父さんがいて、たくさんの子をもうけたことが一番大きいのではないかと専門家のあいだで言われている」と説明した。

■パンダのさまざまな謎
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