ミット目掛け、力強くパンチを打ち込む。大阪市在住の.SABO10氏(22歳・男性)は“リハビリ”としてボクシングに励んでいる。元気な姿からは想像もつかないが、今から6年前、人生が激変する出来事に見舞われた。.SABO10氏は「16歳の時に交通事故に遭って、2カ月間意識不明だった。一生寝たきりかもしれなかったらしい」と振り返る。
その後、奇跡的に目を覚ますも、「高次脳機能障害と診断された」という。高次脳機能障害とは、脳が激しいダメージを受けることにより、さまざまな症状を引き起こす障害。.SABO10氏も左半身麻痺、言語障害などの症状があるが、一番彼を苦しめているのが「記憶障害」だ。
.SABO10氏は「今でも悩んでいる」といい、「事故の1週間前や1カ月前の記憶すらもない」と明かす。さらに事故当時の記憶だけでなく、「家の場所は分かるけど、帰り道の道のりが分からない。服の着方や洗顔をするという概念を忘れて、2年間ぐらい洗顔をしていなかった」。
今は症状もある程度、改善したそうだが、友人との思い出が曖昧だったり、新しい出来事を覚えにくいなど、悩まされることが多いという。いまだ多くの謎が残されている記憶のしくみ。失った記憶は戻るのか。どんな支援が必要なのか。当事者、専門家と共に『ABEMA Prime』で考えた。
■16歳のある日、記憶障害に…
6年前の交通事故で高次脳機能障害となり、現在は障害者アーティストとして活動する、.SABO10氏。病院で目を覚ましたときは、「記憶すらない。普通に暮らしている時みたいな感覚だった」「自分自身が何者なのかも分からなかった」と振り返る。
事故直後は、“お風呂の入り方”や“字の書き方” など、当たり前にできていたことも忘れたという。「本当に一から、セカンドライフという感じだった」。できないことに対しては「悔しい、悲しいという感情はなかった」。
左半身麻痺や言語障害はリハビリを経て良くなったのか。.SABO10氏は「コツコツと良くなっていった。たくさんの方の支えがあって、今があるみたいな感じだ」と答えた。
リハビリについて、「入院リハビリは、あまり覚えてないが、7カ月ぐらいだった。次の2年間は手と足と言語。言いにくい言葉を言ったりとか、作業を素早くしたり、決められたルートを歩き続けたりした。退院してから、ボクシングをリハビリとしてやっている」と説明。
今の記憶障害の症状については、「2つのことを同時に頼まれたり、予定を組んだりすると、パニックになって、忘れてしまうことがある」と明かした。
■高次脳機能障害、記憶障害とは?

