■専門家も首をひねる当事者なき協議

3段階での和平案
拡大する

 まず、アメリカとロシアという2国間で高官協議が行われたことに、ウクライナ出身の政治評論家、ナザレンコ・アンドリー氏は首をひねる。「この会談にウクライナがいなかった点に関しては、いろいろと意味がない。危ない前例になるのではないかと心配していた。これは主権国家という考え方を否定している。大国同士で世界のあり方を決めるというような考えに基づいた行動で、決して受け入れてはいけない」と述べた。さらに「アメリカ人には、自国が侵略されるという危機意識はあまりない。一方で、ヨーロッパはウクライナが倒れたら、次は我々ではないかという危機感を持っている。アメリカが(支援から)抜けたとしても、ヨーロッパには、その危機意識が残っている限りはある程度の支援が続くのではないか」と見解を示した。

 防衛研究所、米欧ロシア研究室長の山添博史氏は「今起こっていることは、ロシアとアメリカの関係正常化。その範囲で話している。表ではトランプがロシアっぽいことを言っていることばかりが出ているが、ロシアとアメリカの間でどれだけ激しいことが行われているのか、要求が行われているのかということもまだ出ていない。その一方で(停戦は)ウクライナが(アメリカに)言われたらそのまま決まるだろうという発想でトランプ氏は話しているように見えるが、そうはいかない。実際の当事者はウクライナとロシアであって、その両者が止まれるような合意でないと、止まるはずがないわけだ。それに至ってもない。そういう場もできていない。これは停戦交渉ではまだない」と、あくまでまだ本格的な停戦交渉の下準備だと冷静さを求めた。

■苦境のウクライナ、アメリカが支援をやめたら?
この記事の写真をみる(5枚)