■苦境のウクライナ、アメリカが支援をやめたら?

戦闘終結に向けた米ロの動き
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 現状、ウクライナはどこまで厳しい状況に置かれているのか。山添氏は「かなり厳しいが、厳しいと言われて1年半も経っている」と表現。山添氏は「砲弾が全然足りていない状況になってから1年半ぐらいやっているわけだ。なんとかする道をウクライナも支援国もやってきた。今、ヨーロッパからの支援と、アメリカからの支援があるが、軍事支援ではアメリカが突出している。経済も含めた支援でいうと、アメリカが半分、ヨーロッパが各国全部合わせて半分ぐらい。アメリカが一気にやめたら半分にはなるが、戦える部分のいくつかは残る。一気にウクライナが(ロシアに)全部併合されるということにもならない」。

 ただし、アメリカが武器の提供など軍事支援を止めてしまった場合、ヨーロッパによる残り“半分”で長く持つこともない。「今でもウクライナは押されている。ずっと守っていた重要拠点ももう時間の問題という見方もある。ヨーロッパだけでは(武器の)生産能力も足りないし、ウクライナ自体の中でも人繰りが全然足りない。半分支援がなくなったら半分耐えられるかというと、もっと厳しいという状況になるのは間違いない。だからトランプが支援を止めると言ったら、ウクライナは言うことを聞くしかないだろうという、そういうロジックはトランプ政権側にはある」と語った。

 イタリアの大学に通うYouTuber・TikTokerの岸谷蘭丸氏は、ヨーロッパ諸国に在住する友人たちから、生の声を聞いている。「ヨーロッパの支援について、民意がついてくるかは結構疑問に思っている。僕の周り、特にイタリアということもあるかもしれないが『ウクライナは(捨てても)もういいでしょう』という声を聞く。彼らの生活も本当に厳しくなっているからだ。飛行機も全然飛ばないし、航路も変えなきゃいけなくて、インフレでとんでもなく物価が高くなっている。戦争が全部の要因ではないが、その1つには確実になっている。イタリア人は本当に困っているから、ウクライナどころじゃないというのが正直なところでは」。

 また、パックンはアメリカ側の見解も示した。「アメリカ人でもそう思っている方は多い。我々がつらいのに、なんで税金、血税が遠い国の知らないやつらのために、あんなに注ぎ込まれているのかと。疑問に持つ、不満を持つ人も多い」。ただし、「僕は国際秩序のために犠牲を払い、次の戦争を抑止するために、ウクライナの支援をし、ウクライナのみなさんに頑張ってもらうのがいいと思う」と持論も展開した。これには岸谷氏も同調し「僕も個人的な感情はそっち派。将来の戦争を防ぐための瀬戸際だし、日本も対岸の火事ではない。本当にもう目の前まで来ているわけで、日本も積極的に支援はしないといけない」と語った。

■停戦への重要ポイント「NATO加盟」は
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