■EXIT兼近大樹「配慮が進むことで苦しくなることもある」
では世間は、この「境界知能」という言葉や、その境遇にいる人々に対して、どう受け止めるべきなのか。EXIT兼近大樹は、ラベリングに対して疑問を持ち、あくまで「個人個人で見るべき」と訴えた。「調べてみたら僕はIQが、割とめちゃくちゃ高い方だったが(境界知能の人々の)生きづらさにほとんど当てはまる。そういう人もいるので、IQが高いからなんだ、低いからなんだという話だ。僕はできないことがめちゃくちゃ多いし、ローマ字を覚えたのも30歳近くなって、やっと全部書けるようになった。掛け算もできなかったし、それも遅くに覚えた」と自身の経験を語った。さらには「それができなかった時、いじられることで得をしていたというか『いや、できないんだよ』という笑いになって、なんとか自分の居場所を見つけられた。ただ、配慮が進むことで、できないことが悪いことになるというか触れられなくなって、それもまた苦しかった。どうしてほしいかは、個人個人で別のもの。Kさんも、なんばさんも違った。個人個人で見ていかない限り、これは難しい。ラベリングがいいこともあれば、マイナスの面もすごく大きい」。
なんばさんも、境界知能のイメージに対しては、危惧するところも多い。「今、境界知能が100%悪いという感じの意見、情報が多い。それを見た人たちが信じてしまう。境界知能の人の、情報処理における理解の弱さも関係していて、本当に境界知能=悪と自分の中に染み込んでしまう人も結構多い。境界知能はそんなに悪いものではない、全面的にもうちょっと偏った意見ではなくて、いい面も見ていこうという風潮になればいい」。また、周囲からの寄り添いも、必ずしも手厚いサポートを求めているわけでもない。「本当に人それぞれ。僕はIQ84という、境界知能ぎりぎりのライン。『支援』みたいな大袈裟なものではなくて、人の親切心、優しさ、そういう小さな気遣いみたいなところが世の中に増えていけばいい」と述べた。
またKさんも「強い言葉、拡散力の強い言葉に囚われすぎなくていい」という。「人間関係の根本にもう一度立ち戻っていただきたい。(相手を)理解しようとする当たり前のことをもう一度考えていただけたら、こちらもホッとしてコミュニケーションも取れる。その中でこちらも学んでいくことがあって、知能が低くても成長していける。配慮をいただけたら、知能の差があってもいい社会を作っていける、そこへは私も参加していけるなと思う」。
(『ABEMA Prime』より)


