将棋の伊藤匠叡王(22)への挑戦者を決める第10期叡王戦本戦トーナメント準決勝が2月25日、大阪府高槻市の関西将棋会館で行われ、藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が糸谷哲郎八段(36)に100手で敗れた。叡王奪還と八冠復帰を目指していた藤井竜王・名人だが、今期はベスト4で敗退。2度目の全冠制覇は来年以降に持ち越されることになった。
一年前の叡王失冠以来、タイトル奪還と八冠復帰を目指して本戦トーナメントに臨んだ藤井竜王・名人だったが、今期の叡王戦は準決勝で姿を消すこととなった。棋界屈指の力戦派で早見え早指しとしても知られている糸谷八段との一戦は、振り駒で藤井竜王・名人の先手番に決定。後手の糸谷八段が横歩取りに誘導し、先手の藤井竜王・名人も受けて立つ形となった。
難解な中盤戦では互いの大駒が中央で飛び交う華々しい戦いとなったが、両者が驚異のバランス感覚を発揮し形勢は互角。藤井竜王・名人は飛車を切って2枚の角で後手陣ににらみを利かせると、糸谷八段も先手からの攻撃に構わず先手陣へ前進し、激しい攻め合いが繰り広げられた。
わずかな間合いから、先に抜け出したのは糸谷八段。桂馬を跳ねて先手陣へ切り込むと、一気に攻撃を仕掛けて主導権を握ることに成功した。急転して苦しくなった藤井竜王・名人は受けに回り、陣形を引き締めて対応を見せたが、リズム良く指し進める糸谷八段は止まらない。終盤早々に1分将棋に突入した藤井竜王・名人は、反撃に出て後手陣へラッシュをかけて粘りを見せたものの、最後は糸谷八段の正確な指し回しを前に投了を告げることとなった。
藤井七冠、糸谷八段の終局後コメント




