■患者からのクレームなどに悩む医師が多数

ペイハラに関する調査結果
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 ある調査では、医師461人に調査をしたところ、69.6%の医師が診察の中でペイハラを受けたと回答した。内訳を見ると、最も多いのが「治療方針・内容」で、以降は「医師(自身)の言動」、「待ち時間」、「診断・検査結果」などと続く。松永クリニック小児科・小児外科院長の松永正訓氏は、現場の声を紹介する。「1年ぐらい前に千葉市医師会で開業医の先生に『悪質なクレーム』のようなアンケートを取った。それを見たら結構ものすごい数のクレームとかハラスメントがあった。ちゃんとした統計はないが、たぶん小児医療ではそういうひどいクレームというのは少ない。小児医療をやっていると、保護者は20代30代の若者だから、そういう人たちよりもうちょっと上の世代の人たちのクレームがきついのではないか」と語った。

 医療現場でよくある「待ち時間」の問題は、医師不足と高齢化の現実がもろに出ているポイントだ。「『3時間待ちの3分医療』とか、昔から言われているし、そういう実態はまだある。うちのクリニックでも、すごくお待たせして、診療が3分で終わってしまうが、それは医者の力ではどうにもならない。たくさん患者が来て『帰ってくれ』と言えば待たせなくて済むわけだが、来た患者を全員診ようと思ったら、当然待ち時間は長くなってしまう」。これには2ちゃんねる創設者のひろゆき氏も「2時間以上混んでいるのだから、それを短くしなくてはいけないのに、待つのは嫌だけど自分の時間は長くしたいみたいな、完全に矛盾しているクレーマー思考だ」と添えた。

 また松永氏は「日本は世界的に見て、医者の数がすごく少ない。2025年になっていわゆる団塊の世代が後期高齢者に入り、患者が増えても、医者がものすごく少ないので、そこにギャップがある。どこの病院でもクリニックでも基本は混んでいる。それを医者に『なんとかしてくれ』と言われても、それは国の施策なので我々には正直、僕らにはどうすることもできない」と述べた。

■複数の病院を回る「ドクターショッピング」の是非
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