■理想の関係、どう構築する?

患者様は神様?
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 医師と患者の関係も、様々な変遷があって今に至っている。松永氏によれば1945年生まれぐらいまでの医師は、自分を「お医者様」として、ふんぞり返るような人が多かったが、かなりの数が引退したという。その後、2001年に厚労省から、患者に対して原則「様」をつけるように通達が出たことをきっかけに状況は変化。「患者様」呼びが広まると、1975年ごろ生まれの医師は、この考え方で研修を受けたために、非常に丁寧になった。ところが今度は「患者様」と呼ばれる患者側の立場が強くなりすぎ、思うような医療ができないことも起き始めたため、現在では「患者さん」で落ち着いているという。

 松永氏は「2001年頃から患者さんのお客様意識が強くなって、病院の中でクレームが増えたという話もある。ただ必ずしも悪いことばかりではなく『患者様』という呼称で医学教育を受けた若い先生は、患者さんに対して丁寧だ。そういう人たちが今40歳とかそれぐらいの年齢になっている。若い世代の医者はさっき言ったことも含めて良い医者が少しずつ増えてきていると思っている」とした。

■医師から患者にどこまで寄り添えるか
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