■児相の仕事はどれだけ大変?
飯島氏が、過酷な一時保護所での勤務を説明する。職員不足で残業は多く、定員20人の所に子ども40人がいる時があったり、死角がないように目が離せずピリピリ、約9時間の勤務後に事務所で書類整理も行うという。さらに、夜勤の仮眠時間は約4時間で、仮眠室はなく、子ども部屋前の廊下に布団を敷いて寝ていたそうだ。
当時を振り返り、「24時間、常に子どもたちといるため休憩できない。一番の葛藤は、子どもの話を聞くほどの余裕がないことだった。40人の子どもに対して、職員のシフトは1日5、6人。一人ひとりの話を丁寧に聞けず、何かサインを出していても気づける状況ではなかった」と明かす。
2019年に千葉県野田市で起きた虐待事件では、一時保護の解除が問題視された。女の子が児童相談所に一時保護されるも解除され、自宅で父親から虐待を受け死亡。千葉県の検証報告書では「本人が嫌がっているのに父と面会」「性的な虐待の事実を把握していたが保護を解除」として、判断は不適切だったと厳しく批判した。
岩波氏はこの事例から、「法的根拠を持たせないまま『指導』で面会制限を行い続けて、違法判決や国賠訴訟などにさらされても困るので、法整備を求める声が出ていた」と説明。ただ、「現状、法的根拠のある『処分』は全体の0.3%程度しかなく、任意の協力による指導がほとんど。今回の法改正で制限をかけやすくなるが、その0.3%へということでは幅が限定されるため、使いづらくなると現場は感じている。そして、これまでの『指導』は引き続き行われる」とする。
飯島氏は「法的根拠によってトラブルのリスクを減らせれば、業務量は多少減るだろう。面会交流の判断などの質も向上できるのではないか」と見ている。
■児相は限界?子どもを守るため必要な施策は?
