よしまさん(28)は、かつてドゥームスクローリングに陥り、ほぼ毎日、最長12時間にわたり、暗いニュースを見続けていた。「国際的なニュースに関心があり、イスラエル・パレスチナ問題や、アメリカ大統領選挙のX投稿を見ていたら、おすすめ欄がそれで埋まった。不安や怒りがこみ上げてきて、その気持ちを正当化するために、自分と同じ考えを持つ人の投稿を追った」のがきっかけだった。
日常生活にも影響が出て、「仕事中もパソコンでXを開いて、ほとんど手に付かない日があった。私生活でもゴミ出しを忘れたり、電車を降り損ねたりした」と振り返る。「朝起きて、まず『どんな絶望的な状況が起きているのか』とスマホを手に取り、Xの画面をスクロールする。もともとは趣味を追うためにXを使っていたが、一度ハマるとアルゴリズムで、似たようなポストばかりが出るようになった」。
何度もやめようとしたが、「ここで見ないふりをするのは、困っている人たちを見捨てるのと一緒だ」と感じた。しかしながら、「自分には何の支援も出てきていない。見ている投稿をリポストして、身近な人に知ってもらえば、何かにつながると思っていたが、なかなかそうはいかない」のが現状だ。
それでも、周囲の助けもあって、ドゥームスクローリングから抜け出した。「彼女に『私と世界、どっちが大事なの』と聞かれ、職場の先輩からも『ドゥームスクローリングだ』と言われた。決め手になったのは、友達から『最近のポストは、見せられても困る』と言われたこと。共感してもらおうとリポストしていたが、人を不快な気持ちにさせていた。むしろ、そのテーマから人を遠ざけていたと気づき、ここでやめないと友達をなくすと思った」。
■専門家「食べ物と同じ。情報も摂取すれば影響があるという自覚が必要」
